閑幕 花蓮の日記帳②
時はまた少し遡る
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幸也君にご飯を作って一緒に食べるようになって早くも一週間が経った。
この日は、幸也君がバスケに対するトラウマを克服するための第一歩を踏み出す日としてとても重要な日である。近くにバスケができる公園があってよかった!
久しぶりということもあって怪我をしないように2人でストレッチを始めた。特に、手首と足首は念入りに。別に下心はないからね?
「それじゃあまず、ボールに触れてみよう。この前の勝負ではボールに触れただけで頭が痛くなっちゃたんだよね?だからまずはボールに触れてみよ」
「わかった」
幸也君は私からボールをもらった。
「ウッ」
そして頭痛によりボールを手放してしまった。
「幸也君!大丈夫」
「ちょっと痛いけど大丈夫だ。パスしてくれ」
「でも、すごく痛そうだったよ。ほんとに平気?」
「このぐらいで根をあげちゃうと克服できなくなっちゃう。だから最初は痛いが少し荒治療だ」
「わかった」
わかったと言ったものの内心では大慌てでいた。あらかじめ、トラウマが酷いと聞いていたけどここまで酷いとは思わないもん。
それからも幸也君はボールをもらっては頭痛で手放しもらっては手放しての繰り返しだった。もう見てられない!
「今日はもうやめよ。あまりやり続けると幸也君が壊れちゃう。まだこれからがあるから少しずつ克服していこ」
ー幸也君はまたバスケがしたいと思ってるんだ!ここで潰しちゃったらダメ!ー
この時の私はよくやったと今思い出しても思うね。
実は、最近幸也君が私が好きだったU15のプレーヤーの人だと分かった。しかもまさか、ネットニュースにデカデカと『ボール運びのプロ』と言われるようなすごい人だったなんて…
幸也君がバスケに対する克服を始めてから早くも一ヶ月がたった。
この一ヶ月はホントに酷かった。ボールを持っては手放し、我慢しても倒れる。なかなかボールを保持することができない。
なのに、テストが帰ってきた日に幸也君が先輩の喧嘩を買ってしまった。まぁ、私のために幸也君は喧嘩を買っちゃったんだけど…
でも、あの先輩はバスケ部で上手いと聞く。大丈夫かな?
それからさらに一週間が経ち、球技大会当日になった。
幸也君はなんとか、2分間はプレーができる状態まで戻ってきた。味方の、滝沢君と佐川君とも仲直りできたみたいだし頑張って欲しいし、カッコいいところ見せて欲しいなぁ〜。
「ね、ねぇ莉緒。私達のクラス強すぎない?」
「ほんとだな。4人だけで決勝戦まで来ちゃうんだもん。幸也君は大丈夫かな?」
「ふっふっふ。幸也君はなんと、2分間はプレーができるぐらいまで克服したよ」
そしてついに幸也君は球技祭初の自分からプレーをしようとした。
レッグスルーで左手に持ち替え、ステップバックからシュートフェイントをし、あの先輩がジャンプをしたところでワンドリブルをしてジャンプシュート。先輩のプレーをコピーしてきれいに決める。
「ね!この時だけなら幸也君は最強だよ!」
「あ、相変わらずすごいね」
でも、この状態はすぐに終わってしまった。タイムリミットだ。
試合もいよいよ終盤だ。私達のクラスは8点差で負けてる。
ー………もうダメなのかな?ー
「滝沢!ボールを寄越せぇぇぇ」
「!?……おい、大丈夫なのか?」
「みんな頑張ってるのに一人だけ無理しないで負けるのは嫌だ。こんなの頑張れば抑えてられる。とにかく俺にボールを回せ!そして、シュートチャンスを待ってろ!この試合勝つんだろ!」
「わかった」
幸也君の声だ!
そうだ!幸也君はあの先輩を倒すと言ってたもん。幸也君ならできるよ!
「がんばれーーーーーーーーーーーーーーーっ」
そこからの幸也君はとにかくすごかった。そしてとてもカッコ良かった。
レッグスルーからのビハインドザパック、フロントチェンジにロールターン、さらにステップバックからのビハインドザパックと過去最高のドリブル捌きを披露した。そして、先輩は引っかかって、尻餅をついていた。
ラストの場面でアンクルブレイクだ。
そのまま幸也君は誰もいないリングの方にドリブルしレイアップシュートを決める。
ピーーーーッ
『試合終了。逆転に次ぐ逆転、33ー31で4組の勝利〜』
あの球技大会から2日たった今日から、夏休みが始まる。
学校が無いぶん、特訓がいっぱいできる。あ、あとは一緒に遊びたいな。夏祭りにもいきたいし…
夏休み、すごく楽しみだなぁ。
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更新遅くなってしまい大変申し訳ございません!
連絡ですが次回まで、【閑幕 花蓮の日記帳】をやらせていただきます!
☆と、♡とレビューが欲しいぃぃぃ!作品のフォローもよろしくお願いします!
※またまたやってきました学生にとって嫌いな定期テストの習慣が近づいてきました。なので更新がまた遅くなります。次は3月の中旬までに更新できるようにがんばりますので引き続き今作品をよろしくお願いします。
※《ビハインドザパック》が正式名称らしいのですが、わかりずらいので《ビハインドドリブル》に変更いたしました。
※玲音のポジションをSFからFにチェンジしました。
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