第19話 決着

「まだまだ試合は始まったばかりだ。試合を楽しもうぜみんな!」


俺はタイムリミットになるまで思いっきりやる。

矢作先輩の1vs1をドリブルカットし、速攻で点を取り6ー2

他のバスケ部の先輩達がオフェンスを仕掛けるも、滝沢と川西のヘルプで思うように点を取れない。


「なんだよコイツ。ただの雑魚じゃねぇのかよ。クソッ」


矢作先輩は思うようなプレーができず苛立つ。

そして再びボールは俺に回ってくる。


「雑魚だと思ってたやつにボコされる気分はどうです先輩?」

「調子に乗るなよ米谷!」

「じゃあ、俺のオフェンスを止めてみろよ」


俺は右手でドリブルし、ビハインドドリブルで左に持ち替えると同時に左へ抜くフェイクをし、レッグスルーで再び右手にボールを替え、先輩が体制を崩したところをワンドリブルし、フェイントを入れてから引っかかった先輩を嘲笑うようにステップバックし、スリーポイントシュートを打つ。


スパッ


このシュートも先輩を嘲笑うようにきれいに決まる。9ー2だ。

なぜか盛り上がっていた観客が黙っている。


『おい、あれやばくねぇか?』


『めちゃくちゃ上手すぎだろ』

観客は今のプレーを見て、凄すぎて黙ってしまっていたのだ。


『キャー米谷君カッコいい』


『渡辺君や佐川君、滝沢君や川西君も凄いけれど米谷君が凄すぎるよね』


『さすがはU15に選ばれただけあるよね〜』


『『『いいぞ米谷!そのままあの野郎を潰せぇー』』』


いや、うちのクラスだけはめちゃくちゃ盛り上がっていた。

『えっ!?U15ってやばくない?』


『なんでそんな奴がこの学校に』

周りもクラスメイトの発言に驚いていた。


「な、米谷がU15に選ばれたプレーヤーだと!?」


当然、俺と今、1vs1をしている矢作先輩も驚く。


「先輩、油断してると取りますよっと」

「あっ」


俺は簡単にボールを奪い速攻。

左手でレイアップシュートをしようとしたら矢作先輩がブロックに飛んでるじゃないか。俺はすぐにボールを引き戻し、ジャンプしたままリングを通過しダブルクラッチのバックレイアップシュートを打つ。もちろん、ブロックに飛んでいた先輩と接触しながら。


ピーーーーッ


『ファール。バスケットカウント。ワンショット』


俺はフリースローも難なく決めて12ー2と点差を引き離す。



相手は矢作先輩ではなく他の先輩がフリーでスリーポイントシュートを打ち、決めてくる。12ー5だ。まぁ決めるところはさすが、バスケ部といったところだ。

さぁこちらのオフェンスだ。取られたら取り返す。


「幸也!」


俺は徹からパスを受け取った。

よし、スリーポイントでやり返すぞ。俺はシュートモーションに入る。


「ヴッ」


「隙ありだ」


俺は矢作先輩にボールを奪われ、速攻で点を決められる。点数は12ー7と5点差だ。


「おい幸也。まさかタイムリミットか?」


「……あぁ。悪い」


「なら、ここからは俺や滝沢、渡辺が点を取っていくから米谷は安心してディフェンスだけやってくれ」

俺はここでタイムリミットがきてしまい頭痛にうなされる。


「クソッ。みんなごめん。あとは頼んだ」


それから俺はボールをもらわずディフェンスだけに集中した。





「おいおい。もうオフェンスはしねぇのかよ。ほら、逆転されてじわじわと点差が広がってるぞ」

「うるさいなぁ、黙ってプレーできねぇのかよ。だから俺のことを抜けないんだよ。口だけ達者なのはお前の方じゃねぇかよ」


言い返しながらも先輩の言っている通りだと俺は思ってしまった。

徹や佐川、滝沢も点を取っているが今は逆転されて、28ー23と逆に5点差つけられてしまっている。

さらに、周りからは

『米谷にボールを回せー』


『米谷君のプレーが見たい』


『U15の実力をもっと見せろ』


『4組もっと頑張れー』

などめちゃくちゃ言われている。


「はい、これで8点差」


「しまった」


余計なことを考えていたせいで矢作先輩にスリーポイントシュートを決められ、31ー23となってしまった。

そして残り時間は2分を切ってしまった。

もう負け…

この試合に勝たなければ、花蓮さんはあのクソ野郎と付き合うことになっちゃうし、期待を裏切ることになっちゃう。そんなの嫌だ!


「滝沢!ボールを寄越せぇぇぇ」


「!?……おい、大丈夫なのか?」

「みんな頑張ってるのに一人だけ無理しないで負けるのは嫌だ。こんなの頑張れば抑えてられる。とにかく俺にボールを回せ!そして、シュートチャンスを待ってろ!この試合勝つんだろ!」

「わかった」


俺はタイムリミット後にボールを受け取った。頭痛がする。痛い。

でも、今ここでやめちゃダメだ。しっかりしろ俺。

「やっとオフェンスに参加してきたか。もう試合は決まったようなもんだ。あとはお前個人を潰すだk…」


「誰が誰を潰すだって?一度も止められてないのに立派なことほざいんてじゃねぇよ。それにまだ試合は終わってねぇよ」


俺は矢作先輩の話を途中で切り、黙らせる。

そして観客は、

『キターーーーーー!』


『待ってましたーー!』


『早くプレーを見せろー』

しっかりと盛り上がっている。


俺は再び1vs1を仕掛ける。単純にワンドリブルしてからステップバックでシュートフェイク、それだけで先輩は引っかかる。抜き去った後のバスケ部2人のヘルプに一瞬焦るも、冷静に周りを見てフリーの佐川にビハインドパスを出す。フリーでスリーポイントシュートを打った佐川はきれいに決める。31ー26、残り時間は1分40秒。

まだいける。


「ここからのディフェンス止めるぞー!」


「「「「おう」」」」


全員が全員、ディフェンスを死ぬ気で頑張り、相手がパスミスをしたのをしっかりとキャッチし、速攻を仕掛ける。

右前に徹、左前に滝沢が走り俺が真ん中をドリブルする。相手は1人だ。

俺はパスフェイクからのビハインドパスで滝沢にボールを出そうと投げる。と同時に相手が滝沢の方に反応する。


「「「「米谷(幸也)!!」」」」


俺も焦ったがまだ大丈夫だ。すぐに投げた反対の手、つまりビハインドパスを左にするから右手で投げたボールを左手の肘にぶつけ、パス方向を徹の方へと変更する。だ。


「えっ!?」


相手は戸惑う。


『『『『『うぉぉぉぉ。スゲェぇぇぇぇ。』』』』』


観客は最高難易度のパスを見て盛り上がる。


「さすがは幸也だぜ」

徹はしっかりとレイアップシュートを決め31ー28と3点差まで縮める。

時間は残り1分。


「まだ勝てるぞ!」


『『「「「「当たり前だぁ」」」」』』


プレーヤーも他のみんなもまだ諦めてない。


相手の先輩達は時間を使いながら攻める。俺らは攻撃的なディフェンスで守る。矢作先輩がスリーポイントシュートを打つ。


「「「「「リバウンドーー」」」」」


シュートが外れたボールを川西がしっかりキャッチ。そのまま俺にボールが回ってくる。


「速攻ーーーーー!」


俺達はとにかく走る。そして相手はパスを警戒していたおかげで同点となるスリーポイントシュートをノーマークで打てる。俺は迷いなくシュートする。


スパッ


「いよっしゃぁぁぁぁぁ」


『『「「「「うおぉぉぉぉ」」」」』』


31ー31。同点だ。そして時間は残り20秒。


『これどっちが勝つか分からねぇ』


『4組!4組!』


『6組!6組!』


『頑張れぇーー』

観客も一番盛り上がる。


「さぁ先輩、ラストの1vs1を始めようか」


俺と矢作先輩はこの試合最後の1vs1を始めた。


レッグスルーからのステップバック、思いっきり前に来てビハインドドリブルで相手をかわす。今までの中では一番いいオフェンスだったがまだだ。


「ここだぁ」


「なに!?」


俺はビハインドドリブルでボールを持ち替えた瞬間を狙ってカットした。

残り時間10秒


「待てぇぇ 米谷ー!」


先輩は俺が他の人を抜いている間に戻っていた。

これが本当にラストの1vs1だ。


レッグスルーからのビハインドドリブル、フロントチェンジにロールターン、さらにステップバックからのビハインドドリブルと過去最高のドリブル捌きを披露した。そして、先輩は引っかかって、尻餅をつく。

ラストの場面でだ。

そのまま俺は誰もいないリングの方にドリブルしレイアップシュートを決める。



ピーーーーッ



『試合終了。逆転に次ぐ逆転、33ー31で4組の勝利〜』




「「「「「いよっしゃぁぁぁ」」」」」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

幸也達の勝ち!!

読者の皆様、ドキドキしながら読めましたか?

自分は素晴らしい試合を書けたと自己満足していますが少し長くなってしまいすみません。そして、次回は短いです。


面白かったり、早く続きが読みたい人はいいね!レビューや作品のフォローしていただからと嬉しいです。

誤字訂正ありましたら教えてくださるとありがたいです。

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