スクラムズクラム

エリー.ファー

スクラムズクラム

 私たちは必ず一つになる。

 そして、力を結集し、地球に迫っている隕石を消すのだ。

 もちろん、望んだ形でこの場に集まった訳ではないことは知っている。しかし、だ。今、この瞬間。地球を救うことができるのは私たちだけだ。

 多くの人々が自分の命を、愛する人の命を心配している時、その心配を解消できるのは私たちだけなのだ。

 地球を救うだけではない。

 未来を作りに行くのだ。

 そう思って任務に当たってほしい。

 地球に向かっている隕石は全部で七千と十九個である。大きさはまばらではあるが、一番大きいものでエアーズロックと同じくらいであると言われている。落下する場所は今現在計算中のようだが、どうやらニューヨークであるらしい。

 映画のような話だと思うだろう。

 最初は私もそう思った。

 しかし、時間の経過とともに状況は現実味を帯びていったし、そのせいか沢山の人がパニックになり、大きな問題が発生した。

 この時点で既に実際にふりかかる厄災ではなく、人災による犠牲者が多数出ている。

 不幸の連鎖だ。

 断ち切るには元凶を消し去るほかない。

 方法は既に説明したとおりだが非常にシンプルだ。

 隕石を消し去るために、皆のパワーを分けてもらう。これは東洋では気を呼ぶそうだ。他にもチャクラなどとも呼ばれているそうだが詳しいことは分からない。

 これを、丸くする。

 そうだな、簡単に言うと、ボーリングの玉をイメージしてもらいたい。そのくらいにまで圧縮する。

 そして、それを隕石に向かって投げつけて、隕石を破壊する。

 いいか、大事なことは成功をイメージすることだ。

 自分の力以上のものが目の前で起こると明確に想像する。その時に、決して論理を求めるな。そのようなことができるとだけ考えればいい。

 必要なものは、明確ではない思考だ。

 そこにたどり着かない者などいないと考えろ。

 すべてはフルに使われる。

 そして。

 答えになる。

 それがすべてを救うのだ。

 前にも同じようなことがあった時、君たちのように集められた者たちがいた。彼らは皆、悲しそうな表情をしていた。自分たちでは何もできないと思い込んでいたのだろう。

 その結果、引き起こしたことと言えば、地球が半分吹き飛ぶという大惨事だ。

 いいか、よく聞け。

 君たちの思考はもはや君たちのものではない。ここから先はそれらがすべて資産となり、負債となる。

 良くも悪くも、すべては決する。

 私は地球にしろ、人類にしろ、多くのものの危機的状況というのをこの目で見てきた。齢にして、二千百ともなればこのような経験は当たり前のようにある。

 重要なことは、それらの災害をまともにくらうことなどなかったということだ。

 そう、どうにかなったのだ。

 今回もきっとそうだろう。

 そう、願いたい。

 そして。

 願わせてくれるであろう君たちがいる。

 祈らせてもらう。

 僅かばかりではあるが。

 この尊い時間を使って。


 地球は滅亡したし、人類は死んじゃいました。

 でも、大丈夫。

 それも運命です。

 よく物語では、ちゃんちゃん、とか色々言いますけど。

 リアルはそういう感じにはなりません。

 ちゃんちゃんとか、そういうものは存在しないのです。なんのBGMもなく、ただ死にます。

 バッドエンドであれ、ハッピーエンドであれ、何も起きません。その結果を現実が提供し、かつ享受するのみです。

 少しだけの時間。文明やら文化やらがそこには存在していましたが、それだけではないのです。もっと多くの人たちの心の動きが、そこに積み重なって一つの現実となっていたのです。

 だから、ただの結論ではありません。

 何かがそこにあったから、なくなることができたという一つの成果なのです。

 

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