続きを始めよう

 洞窟の一番奥に着いた。なんだかはっきり認識することができないモノがあった。黒いのか白いのか、球体なのか円柱状なのか。次元を超越するものともなればそういうものなんだろう、とよく分からないまま私は納得していた。


「それでは、私はここで。」

 アカリが言う。

「それじゃあ、またいつか。」

 これが、私が考えた精一杯の別れの文句だ。いつか、また。世界が変わっても、いつかどこかで。どんな関係性になるかは分からないが、また会えたらいいな、と。

「あなたはずっと私の体を使ってたんだよね。なんか……恥ずかしいな。また、いつか会えたらいいね。」

 人見知り気味の灯だが、この短い間ですっかりアカリと打ち解けたようだった。


「それじゃあ、始めよう。これで本当に最後。灯、準備はいい?」

「大丈夫。」

 灯としっかり手を繋いで、私はゲートをくぐった。

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