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外はまだ真っ暗だ。それもそのはず、深夜の3時半前である。
恵吏と灯はようやく建物の外に抜け出すことに成功した。外では警護用のAIロボットを連れた聡兎が待っていた。余談だが、大統領である聡兎の身の回りの警護を行っているこの女性型アンドロイドAIは旧アイドルAI・リナだったりする。もちろん彼女に当時の記憶は1ミリもない。
「良かった……。無事みたいだな。今日のところはうちに……というか紅音の部屋に来てくれ。今のところはあそこが一番安心できる。」
一方、モスクワの某所である。
作戦の顛末を聞いたルキフェルは言った。
「なるほど、ガブリエルが言ったのは本当のことだったみたいですね。とにかく、これで朝倉灯の場所は特定できた、と。もう位置情報の特定を妨害するような場所に居るわけでもないので彼女を見失うんじゃないですよ?……それでは、次です。」
恵吏、灯、紅音は資料の前に集まっていた。作戦会議、というやつである。
まず、恵吏が資料を見ながら言う。
「セフィロトの樹を用いる神への昇華にはセフィラに対応する天使、深淵のダアトに対応させるためガブリエルたちが引きずり出してくれたはずの観測者……朝倉瑞姫が必要になる。ガブリエルたちが帰ってこないこと、ルキフェルが私たちを狙いに来たこと。この二つから導かれるのは……あまり考えたくないけど……」
「捕まっちゃったの?」
紅音が言った。
「そう考えるのが自然だと思う。」
恵吏は続ける。
「そうすると、ルキフェルは天使の用意は終わったことになる。そしたら、あいつが次に狙うのは、灯と深淵……朝倉瑞姫。灯はまだ私たちにある。朝倉瑞姫は……不明。私が考えたのは、ルキフェルがまだ朝倉瑞姫を確保していないなら先に見つけて有利に立つことができるんじゃないか、って。」
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