停止
統一暦499年12月2日午前11時
ACARIが動作を停止した。
世界各地のACARIを利用したシステムもそれに伴って停止。混乱が発生し、数分で各SNSのサーバーはダウンすることとなる。
統一暦499年12月2日午前10時58分
アカリは激しく頭をぶつけ、流血していた。
ここはスイスの山中。逃走途中で足を滑らせた恵吏とアカリは崖底に転落してしまったのだった。
右腕と右脚をぶつけた恵吏は左腕で這うようにしてアカリの元に近づく。
「あ……かり……?」
アカリは目を閉じたままである。
「動くな。」
追手たちだ。銃のようなものを恵吏に向けている。
「今すぐ彼女を渡してくれれば、助けることができる。君も助けることができる。」
そう言って少しずつ距離を詰めてくる。
灯の肉体が死んでしまったら、恵吏の望みは完全に断たれてしまう。ここまでなんだろうか。
恵吏は降伏しようとした。
統一暦499年12月2日午前10時59分
灯は薄く瞼を開いた。
なぜか赤く染まった光景。頭部にある鈍い痛み。そして――右半身を強く打ったために流血する恵吏、そんな恵吏を追い詰めようとする複数の人間。
灯はたまらず叫んだ。
統一暦499年12月2日午前11時
灯が叫んだのと同時だった。追手たちの頭部が一斉に破裂したのは。
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