ホンモノ?

統一暦499年10月24日午後1時15分

 苑仁うつひとの言った通り、聡兎そうとが動けるようになるまで10分ほどかかってしまった。紅音がうまく時間稼ぎできたおかげで無事に脱出できたのだが、

「草薙剣は奪われた。」

 公園のベンチに腰掛けた聡兎が言う。

 そう、草薙剣を盗もうとした聡兎たちは逆に草薙剣を盗まれてしまったのだ。

「だが、これで一番大事なことが分かった。あの剣はホンモノだ。」

 紅音は聡兎に尋ねる。

「偽物だと思ってたの?」

「いや。皇室が草薙剣としてるのだからあの草薙剣は誰が何と言おうと本物の草薙剣だ。それは最初からわかってる。俺が言いたいのは、あれは本当に何らかの能力を持つ『ホンモノ』だってことだ。そうでもなければあいつが許可も得ずに草薙剣を盗む理由は存在しない。そして……あいつは、何かとんでもないことをしようとしている。」

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