第53話 先生の夢
「まぁ二人の石像の運び出しと、バジリスクの毒袋は僕に任せてくれ担任教師として何とかしてみせるから」
決意を固めたヴァリオン先生は立ち去ろうとした。
「あの! 先生‥‥その二人の石像は持って帰りました」
ガタンと思いっきりずっこけたヴァリオン先生は頭を擦りながら起き上がってきた。
「え? どういうことかい? そんな石像なんてどこにあるんだい?」
俺はヴァリオン先生の疑問に答える為闇魔法の中から二人を出した。
「そ、それは闇魔法かい? すごいなそんな使い方があるなんて‥‥それはともかく、二人の石像があるならもう少し簡単に話は済む‥‥冒険者にでも頼んで討伐してもらうもしくは出回っているバジリスクの毒袋を買えばいいだけだ!」
「先生‥‥もっとてっとり早い方法があります」
俺がそう言うとヴァリオン先生は目の色を変えた。
「それはどういう方法だい?」
「簡単です。僕がバジリスクを倒せばいいんです。」
ヴァリオン先生は顔を真っ青にした。
「それはだめだ、いくら君が強いからとはいえ生徒にそんなことはさせられない、その話は聞かなかったことにする。君にはダンジョンに勝手に入ったバツを受けてもらうよ。これは規則だから諦めてくれ」
「わかりました。ところでバツってなんですか?」
「そうだね‥‥どうしようか僕の白錬金術の研究に付き合うって言うのでどうだい?」
「それが罰則ですか?」
「そうだよ。僕がそれが適当な罰と判断したからそれでいい。じゃあ今から罰則だ。彼らは君の闇魔法の中に入れておきなさいソレが一番安全だ。壊れたりしたら取り返しが着かないからね」
そう言ってヴァリオン先生は保健室の外に出ていった。ヴァリオン先生について行くと少々古臭い部屋にたどり着いた。
「ここが僕の実験部屋さ。普段は別の部屋にいるんだけど実験のときだけここにいる。」
「先生は黒錬金術に手は出さないんですか?」
俺は少し警戒しながら問いかける。
「あはは、ソレは校長先生の専門分野だね。僕は時代遅れな白錬金術さ‥‥自然の力を感じられるこっちのほうが好きなんだ」
「いいと思います。僕も黒錬金術は嫌いなので」
「そうか」
ヴァリオン先生は笑顔で頷きながら実験の準備を始めた。
「僕はね白錬金術で黒錬金術と同じ事をしたいんだよ白錬金術でも同じことができる。劣ってなんていないって証明したいのさ‥‥だけど最近の黒錬金術の発展はすごいよね。一個最高クラスのお守りがあるだけで一騎当千の戦争ができる。今の時代黒錬金術製の何かを持っていないほうが珍しい。」
あれ? 俺が知らない間にそんなに技術が発展していたのかソレはつまり黒魔種も強くなっているということで何の意味のない気がするんだが
「君も黒錬金術製の何かを持っているからあんな威力の魔法が使えるんだろう?」
ヴァリオン先生がそう言ってくる。俺は微妙な顔押してその質問に答える。
「先程も言いましたけど自分は黒錬金術に関するモノすべてが嫌いです。なのでそんなものは使いませんよ」
ヴァリオン先生は驚いて声が出ていない。
「つ、つまり君は自分の実力であの威力の魔法を出しているのかい?」
「はい、そうです‥‥」
その答えを聞きヴァリオン先生の目がキラキラしている。
「素晴らしい! じゃあ今から僕が作った白錬金術製の指輪使ってほしいんだ。黒錬金術製の装備を使ったことが無いなら違いもはっきり分かるだろう」
ヴァリオン先生が俺に指輪を渡した。
「さあ、ソレで学校の敷地の魔物でも倒してきてくれ僕はここで待っているから」
俺は指輪を装備して部屋から出た。教室の外にはディーネがいた。
「マスターなにかわかりませんが力が湧いてきます!」
どうやら指輪の効果はディーネに入ったらしい。エアボクシングをしているディーネを連れて森に入った。
「なんかじめじめしてて嫌な場所だな」
「そうですね闇の泉の私みたいで不快です」
「あの、ディーネってディーネによって性格とか違うのか?」
「そりゃあ変わりますよ! まぁ最後にあった時はそんな感じでしたけど今はどうか知りません。長い月日をかけて性格が変わっているかもしれませんし」
面白い話を聞けた暇なら探して見るのもいいかもしれない。
「マスター聞こえています! なんであんなやつを探そうとしてるんですか!怒りますよ」
ディーネが怒り始めたので、無視をして森の中を進む。暫く歩くとミノタウロスがこちらに歩いてきた。
「マスター私におまかせ下さい!」
ディーネが自信満々に俺の前に出てきた。ミノタウロスの振り下ろした斧をサラリと避け股間を蹴った。一撃で落ちるミノタウロス何か可愛そうだ……
同情した目で見ているとミノタウロスがこちらに斧を投げてきた。別にスキルを使った訳でもないのに飛んでくる斧が緩やかに見える。
「どうやら俺にも効果があったらしい!」
俺はミノタウロスに近づき股間を蹴り上げた。
「GYAOOOOGUOOOOO!」
苦しそうに呻くミノタウロスの首を切り落とした。
「楽な仕事だった。じゃあディーネそろそろ行こうか」
「はいマスター」
俺たちは、バジリスクの潜むダンジョンに向かって歩き始めた。
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