第10話 禁止事項

[バタン…]


車から降りて、階段を上り神社へ向かう。


「毎回この階段大変なんだよね。」


「結構段数ありますもんね、こないだ来た時びっくりしました。」


「階段無かったらいいとこなのにね。」


と世間話をしつつ、一段一段上る。

階段を上り切り、社務所にいる巫女さんに管理さんが話しかける。


流尽「今日もよろしくね。」


巫女「そちらの方は体験される方ですか?」


金武「いえ、流尽さんと手伝いに着ました。」


巫女「そうだったんですね、ありがとうございます。」


どうぞ、と巫女さんに裏手を案内される。

人生で神社の中に入るの覚えてる限りでは初めてかもしれないなー。

手伝いできたけど、貴重な体験だな。


キッチンに通されると、の数人がすでにこの部屋にいた。

なんだか顔に見覚えがある。

こっそり携帯であのアカウントの人の写真を確認する。


この人たちだ。


カップルと4人組の20代の女性。

修行するから、スマホをいじらなかったのか?


よろしくお願いします、とこれから修行する人たちに挨拶をして探りを入れてみる。


金武「なんでここで修行しようと思ったんですか?」


「夏休み暇だし、1000円で好きなだけ修行できるみたいだからノリでやってみることにしたんですー。」


「神主さん好きなだけ拝められるからでしょー。」


「言うなって。」


若いからこそできるノリで来たのか。


「修行中、禁止事項とかあるんですか?」


「修行中はスマホとかの電子機器一切禁止なんだって。マジつらいですよー。」


「それなー。」


「それ以外は特にないんですか?」


「あとこの神社の敷地から出ちゃダメなんだって。まあご飯も食べられるからいいんだけど。

その二つくらいですよ。」


「結構きついですね。」


「ですよねー。」


電子機器一切禁止、神社の敷地内の行動範囲、

もしかしたら他の人もこの修行に参加しているのかもしれない。

だからSNSの動きもなく、行方不明届を出されてしまったのだろうか。


それにしても、数か月修行する人がいるのだろうか?


「おはようございます。」


奥の扉から神主が出てきた。


「今日はお集り頂きありがとうございます。

さっそく、修行に向けての準備を始めたいと思います。

修行される方は自分たちが寝泊まりする場所の掃除をしてもらいます。

流尽さんたちは食料などの運搬をお願いします。」


と言って買い物リストを渡された。

結構ある。

これは赤字なのでは?と思うほど多い。

米とフルーツがやけに多いな。食べ盛りだからなのか?


「金武さん、今日は急遽来て頂いてありがとうございます。」


神主さんが話しかけてきた。


「いえいえ、今日暇で体動かしたいと思っていたので丁度良かったです。」


「ありがとうございます。終わったらご飯食べていってくださいね。

僕が今日だけ特別で作るので。」


といい、ニコッと微笑む。

そんな姿をキャーキャー言いながら喜ぶ女性陣。

本当にアイドルみたいな雰囲気だな。


「ありがとうございます。楽しみにしてます。」


断ると関係が悪化して、めんどくさいことになりそうなのでとりあえず食事に行くことにした。


管理人さんと、必要なものを買いに街へ向かった。

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