第79話 食糧危機

食糧危機……。異常気象と人口爆発により、すでに人類を満たす食べ物はない。


だから他国の海に行って、魚をとりまくる国がある。


食糧を海外から買いまくる。食糧不足なんて言ったら、国が転覆するから。


そんな国から、画期的な策がでてきた。


死んだ人間の肉を一度、タンパク質、脂質などに分類して抽出した後、


それを昆虫や植物から抽出したそれらの成分と混合、食糧にするという案だ。


これはお墓の不足にも対応し、まさに合理的で、ベストな判断だ。


ただし、人間を食っている……という感情を除けば。


そして、それを非難していた国々が、次々と食糧不足による国民の怒りで、


政権が転覆する中でも、その国だけは安泰だった。


国の体制は安泰だけど、人肉食はやがて当たり前となり、


その国から人がいなくなった。


みんながグルメになり、活きのいい食糧を求めるようになり、


我先に相手を殺し始めたから。


人間の欲望は尽きないもの。権力欲なんて、食欲には勝てないものだ。

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