第77話 ドローン
ドローンでの移動が当たり前になった未来。
遠隔で操作され、所定のビルであれば屋上まで運んでくれる。
乗客は四人まで。座席は回転でき、見ず知らずの相手と乗るときは
背中合わせで、そうでないときは向かい合わせで座る。
その日は四人で予約して乗った。
誰がこの中で、一番先に死ぬかを空で話し合おう、と決めたから。
もう若くない。全員が何らかの持病をもち、いつ死んでもおかしくない。
だから空で……天国に近いところで話し合おうと思った。
無論、そのまま墜ちても後悔はない。
ただ、実際にドローンで移動してみると、
音がうるさくて話は途切れがちとなり、会話は弾まなかった。
否……、会話なんて必要なかった。だって地上にもどってきたとき、
全員が亡くなっていたのだから。
病気で死ぬより、高所恐怖症のストレスで死ぬことを望んだから。
そしてそれは、ドローンのツアーでもあった。
そのツアーの名は『天国への道』なのだから。
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