第63話 友人
小学校のころの友人と会うことになった。
たまたま、こちらのSNSをみつけ、連絡をとってきたのだ。
久しぶりに会った彼女は、昔は太っていて、動きが緩慢で
笑われていたのに、今はほっそりとしている。
「大人になって、ストレスになることも多くてね。
お陰で、ダイエットもしていないのに痩せたのよ」そういって笑う。
「苦労したのね」
「そうよ。ストレスって、自分では気づかないうちにかかるものが
そう言われるらしいの。しかも今、かかっているものだけでなく、
小さいころのことも、今のストレスになっているらしいわ」
「そうなんだ。大変ね」
「そう、小さいころに、あなたにイジメられたこともストレスだった」
「え? イジメなんて……」
「でも、気にしないで。もう恨んでいないから。だって私、
もうこの世にはいないから。あの世に行っているから」
「それって……?」
「太っているのをイジメられ、それがストレスになって、
あなたに呪いをかけようとしていたけれど、先に死んだの。
死んだら好きな体型になれたし、もういいかなって……。
それだけを伝えたくて」
そういって彼女は消えた。昔から緩慢だったけれど、
彼女は呪いをかけるのも鈍かったようだ。
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