第53話 旅行

スマホに知らない番号から電話がかかってきた。


友達が新しい番号にしたのかも……と考え、とることにした。


「おめでとうございます。この度、あなたはとうせんしました」


生憎と、何かに応募したことはないし、詐欺かもしれない。


「何かの間違いです。切ります」


「待って下さい。これは詐欺ではありません。あなたは旅行が


当たったのです。三ヶ月前に、旅行をされましたよね?」


確かに、旅行をしたときに、この連絡先を書いておいたのを思い出した。


「応募した憶えはないですけど、キャンペーンでもやっていたのですか?」


「いえいえ。当選ではなく、『死』に対する尊敬語の登仙です」


悪い冗談だ……。「変なことを言わないでください。切ります!」


電話を切ろうとしたところ、私の命がこと切れた。


「当社の旅行へようこそ」そういって、スマホは切れた。

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