第44話 目

目が痛い。そう思いながら、大分歩いている。


生憎と、鏡もスマホももっていないので、確認もできない。


毛でも入ったのか、それとも虫でも飛び込んだのか?


目を開けることもできない。


トイレでもあればいいが、何も買わないのにお店に入るのも


気が引けるし、公衆トイレはありそうもない。


鏡がないって、顔がみられないって、こんなにつらいものなのか。


人気のない、小さな公園をみつけた。


これはチャンスだ。そこにあった古ぼけたトイレに駆けこむ。


でも、目を開けていないのに、どうして公園をみつけられた?


目を開けていないのに、大分歩けた?


鏡には何も映らない。だって私は……。


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