第34話

「ぴょん太、危険ないれしゅよ」

『危険ですよ! 目の前に聖具を振り回している危険人物がいますから!』


 うゆ?せいぐってなんですか?

僕、初めて聞きました。


「喋るうえに、聖具の事も知っているなんて……。あの中身は何なのかしらね?」

「陛下の仕込みがある以上、ろくなものではないかと」

「そうよね……」


 うゆ?かあ様もマティアスもせいぐっていうの知っているようですよ?


「ぴょん太、しぇいぐなんでしゅ?」

『聖具というのはアレです。あのハルバートです』

「かあしゃまのもってりゅ、カコイイ棒のことでちゅね!」

「カッコいい棒ですって! ユーリは可愛いわね」

『ユーリ様。気を許してはなりませんよ。何せあの棒でドアを吹っ飛ばした人物ですからね!』

「!?」


 ふえっ!?

ドアを飛ばしたのはかあ様だったのですか!?

 ほえー……。

 凄いです!でも、ドアは飛ばしちゃ駄目なのです。

ドアは静かに開けるものなのですよ。


「かあしゃま、メッ! でしゅよ。 ドアはとばちゅものじゃないでしゅ。開けるものでしゅよ」

「ええ、そうねユーリ。本来ならそうですね。

 でもね、結界が張られていて、押しても引いても叩いても全く動かなかったのですよ。

 なら最後は、叩き斬るしかないでしょう?」

「奥様……。表現が少し……」

『脳筋だな』


 ふえっ?けっかいって何です?僕知らないですよ?

あとぴょん太、のうきんって何ですか?


「ぴょん太、けっかいちってるでしゅ?」

『ユーリ様のお休みを邪魔されないように、私が』

「う? けっかいってなにしゅるでしゅ?」

『ユーリ様をお守りするものです』

「う? 何から守るでしゅ?」

『ユーリ様を煩わす全てからです』


んー?僕、よく分かりません。


「ユーリ。母様のところまで来れるかしら?」


ふぉー!そうでした。かあ様に呼ばれてました。


「行きましゅ!」

『ユーリ様、危険です!』

「かあしゃまは危険じゃないでしゅよ。ぴょん太も、かあしゃまやしゃちいの知ってるでしゅ」

『いや、まあ……。ですが……』

 ぴょん太はチラチラと母様を見ながらも、むぎゅー!って顔で頷いてくれました。

そのお顔、面白くて可愛いですね!

むふふってちょっと笑っちゃいました。

 僕は頷いてくれたぴょん太の頭ををよしよししてあげてから、ベッドの端まで行くとふんむっ!と気合を入れます。

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