第29話

 僕はお部屋の中をじーっと、ゆっくりと見てみましたが、あるじさまもピョンタも見つけられませんでした。


むう……。


 かなり、高度なてくにっくの持ち主のようです。

記憶さんにも隠れんぼの見つけ方を聞きましたが、分からないと言われました。

 ぜったい見つけて、僕も隠れんぼ上手になるのです!

ふんむー!!


 僕は見つけられないのを誤魔化すように、ぴょん太をギュッとしたまま、お布団の上をごろごろします。


 うにゅー!!

楽しいです!!

次は高速ごろごろですっ!


 ごろごろごろー!

ごろごろごろごろごろごろー!!


『あの、主人様……』


 あるじさまー、呼ばれてるですよー。

こうそくー!

うっにゅー!


『はあ……。仕方ありませんね』


 高速ごろごろしてた僕ですが、腕の中がなんかおかしいのです。

腕の中がもぞもぞします。


 うゆ?


一回高速ごろごろを止めて腕の中を見るけど、ぴょん太しかいないです。


「ひょっ!?」


 ぴょ、ぴょん太が動いてますっ!?

ちっちゃなお手手で僕の腕ぽんぽんしてますっ!


 ふぉー!

ぴょん太お手手ぽんぽんかわいいです!

ういんういんってやつですね!


 う?

ういんじゃなく愛いですか?

んー、分かんないです。

 そんな事よりも、僕気付いたですよ!


ぴょん太動けたですかっ!


 ぬいぐるみ種は、動けない永遠の呪いがかかってるってエリーナが言ってました。

呪い、とても怖いです……。

でも、今、ぴょん太動いてますっ!呪いなくなったです!


「ぴょん太動けたでしゅか! しゅごいですっ!」


 僕は嬉しくなって、父様にしてもらうようなたかいたかいをぴょん太にしました。

してもらうと僕は楽しくなるので、ぴょん太も間違いなく喜ぶと思います!


 たかーい!たかーい!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る