紅い花火

お祭りの夜に

町の外れの裏山で

意味のない歌を唄ったよ


花火に怯える動物が

森の中を駆けている

夜行性には

花火はあんまり眩しくて

楽しむことなんて

出来ないよ


地面の揺れも怖いけど

空の揺れは、なお恐ろしい

赤い花が夜空に咲いて

灰色の花粉を撒いている


死んで久しいあの子が

藪の中から、愛を囁いた

約束通り結ばれましょう

不履行にはお仕置なんだから


時の止まった幼声

茨みたいに組まれた心

柔らかい思い出は流れ出て

固めた約束傷だらけ


お囃子は、後ろ髪なんか引かないよ

お祭りが明るいのは

昔を再現させるため

あれは大昔の太陽の光


あなたは夜行性でしょ

眩しいなら、こっちにおいで

一緒に蛍になろう

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