ちくちく詩集

なんだこれ

ちゃぶ台返し三秒前に明かされる

どんでん返しの余りの衝撃に

丼をひっくり返し

それによって

創られた

富士山と見紛うばかりの

美しき米の山に

信仰が芽生えはじめる己の心に

驚愕し、三茄子も腰を抜かすほどの

三点倒立を決めればそこに逆さ富士

逆さ三角、丸、四角

マルチメディアに映し出される

己の心の汚さが、予想の斜め上を

更に這い上がっていくのに驚いて

身体のバネの限界越えて

気が付くと、水場の三角コーナーに

コーナーキックを決めていた

舞い落ちるニンジンの面の皮の厚いこと

嫁の不器用さに

驚き桃の木山椒の木

桃栗三年柿八年

亭主の不作はこれまた一生

一生という言葉が

住宅ローンのように肩に重くのしかかり

始終痛む、四十肩がなお痛む

拍車掛けたる重圧が、なにするものぞと

怒り肩になるも、脱臼如くの痛みが走り

見も知らぬ拍車への憎悪膨らむ

滑車なぞ、動物愛護法による偽善の鉄槌を

打ち付けられるがよろしいと願うも

妄想の中の拍車の

動物愛護法には拍車は掛けられぬという

屁理屈に絶息しかけるも

溜め息により事なきを得るが

幸せを一つ逃したことに思い至り

血の気が引くも

足の裏で踏みつけたニンジンより感じたる

虫を踏み潰したかのような皮膚感覚に

驚き、頭に血が昇り難を逃れたが

己の喉より発せられた乙女のような悲鳴に

時間差で驚いての

ひっくり返りざま

乙女心と中年心の仲立ちに

一瞬たりとも心を奪われた羞恥心に、身を丸めたことにより

私の身体はお好み焼きのような

回転力を生みだし

我に帰ると

私は直角定規も青ざめるような正確さで

地面に対し

垂直に

逆立ちを決めていたのに驚き

逆立ちをしていても驚けることに

その倍も驚いた