牧野くん

アリ地獄、痴情のもつれで

立てこもり

袖にされた元カノ引き連れて

やけくそ砂丘


今カレの説得はむなしく

やむなくの110番


大挙して現れたのは

黒々光るアリの機動隊


アリたちは必死に

なだめるが

アリ地獄はというと

お前たちに

地獄を見せてやるの

一点ばり


これでは埒が明かぬと

故郷の両親に協力を依頼するも

のんき者の性分のため

一向に到着する気配なし


代わりにと

近場に住む

親戚の極楽トンボの叔父が

駆り出されるも

特に親しかったわけでもなし

高等遊民を気取る叔父から出る言葉は

どこか浮世離れしていて

ますますアリ地獄を怒らせた


現場の緊張は高まるばかり

解決の糸口すら見つからない


そこに恐怖の大王登場


水のなみなみ入ったじょうろを持った

小学生の男の子が現れた


重たいじょうろに揺れる様は

まるで

機械仕掛けの神のよう

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