花売り娘

タイムスリップで

胸を強打し

タイムワープで

足首捻挫し

タイムリープで

尻餅突いて

タイムトラベルで

迷子になって


時空警察は根性ひねくれ

道行く人は不親切

私は私

ここはどこ?


見知らぬ土地でも

猫は変わらず

そこにいて


いつにもまして

優しいような

気さえして


川辺では洗濯にはげむ

奥様方が笑ってる

街角の

花売り娘ははつらつと


花売り娘は

親切で

花を一輪くれたっけ


花の匂いを

嗅ぎながら

頭に浮かんだ

その言葉


郷に入りては

なんとやら


ここはここ

私は誰?


何言ってるの、姉さん?

そう微笑んだのは

目の前の

花売り娘


畑で転んで

胸を強打し

くわを振り上げ

足首捻挫し

花を持ちすぎ

尻餅突いて

町の外れで

迷子になって


警ら隊は礼儀正しく

道行く人は親切で

私は私

ここはここ


いつもの街角で

出会った

見掛けない猫


猫は私に

見向きもせずに

長い上り坂を

下っていった

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