歩兵たち

コーヒーショップの

オープンテラスで

チェスに興じる

骸骨の

その盤面は

開戦間近


吹き抜ける風は

コーヒーの香り

ちらつく雪からは

甘い匂い


黒曜石に腰掛ける

ビショップは

故郷の砂漠に

想いを馳せる


凍てつく夜に

父親が

語った

思い出話


父が幼い頃に

見たという

砂漠に降った

真綿のような雪


ビショップは

我に帰りしな

忘れていた父の顔を

思い出す


まるで誰かに

操られるように

歩兵たちが

近付いてくる


歩兵たちの顔は

どうしてか

懐かしい父親と

そっくりだった

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