第27話 歴史は繰り返すが逆戻りは決してしない
「何だこのデジャブは」
騒がしいのが初期ステータスに含まれているショッピングモール。そんな場所に居る人もまた騒がしいのは言うまでもなく、深雪さんたちも例外ではないのだった。
智花さんを除くこのメンバーで1度行ったことがあったので、予想はついていたけども。
自称メイドもたまには羽根を伸ばして、高校生と同じようにはしゃいでいる……と言うか、彩香以上にテンションが高い気が。
まあ、心なしか怒っている?彩香と比べるのも客観性にかけるのも事実。
もしかして、何か大事話でもあったのかな。だとしたら兄として完全に間違った判断をしてしまったのではないか!?
進路、将来、人間関係………恋愛。いくらでも悩みの種はあるはずだ。
あ~とにかく、落ち着いた喫茶店、そうだ!「カエサル」があったではないか!
幸い、深雪さんが一人になってしまう問題は、智花さんの存在のおかげでっカバーできる。もしかすると智花さんはそれを既に見抜いていたのか?
「ね~ね~宗太君はこういう服好き~?」
「どういうのっ、何してるんですか!!」
年上のお姉さんジョークか知りませんが、大学生の男子に向かって極めてセクシーな下着を見せてくるのはセクシュアル・ハラスメントになるかもしれないので今後一切そういったことはしないでいただきたいですね、はい。
「想像したでしょ~」
「してません!」
この人が妹の感情の機微を見抜いたとは思えないな。僕がほんの少しだけ想像したのは当たったけど。もちろん不可抗力であるのは弁明するまでもない。
「宗太君、顔赤いんだけど」
そういう深雪さんは真っ黒だよ、オーラが。
今はそんなことを言ってる場合じゃない。何とか自然に彩香と二人きりにならねばならないというのに。さてどうしたものか。
着いて早々、別行動も不自然に感じるしな。僕の無い経験を頼りにするのは不可能なので、その代わりに読書の知識をフル稼働する。
僕の取り柄、今となっては最後の砦に妹の未来は懸かっているかもしれないと思うと、いらぬ緊張が邪魔をしてくる。
これが悪魔の挑戦なのか?これを乗り越えたら、キリストとして活動を開始するのか?
人類規模の救済に発展する反面、理想論と相反する具体策が一切思い浮かばないところに、「教養バカ」という揶揄が脳裏をよぎる。
「お兄ちゃん?もしかして疲れちゃった?」
さすがは長年、兄を支え、明智家を支えた才女なだけあって、僕の空回りによるオーバーヒートを見逃さなかったようだ。
「お兄ちゃんと私は少し休憩するので、深雪さんたちは先にまわっててください」
「え~宗太君とは一秒たりとも離れたくないよ!」
「お風呂とかで何十分も離れてるだろ」
「ふふふ、それはどうかな?」
さらっと意味深なこと言わないでもらえるかな?
「じゃあ、宗太君を悩殺する下着探してるね~」
「お願いします………?」
「お姉ちゃんに負けないやつ見つけるからね♥」
この姉妹ヤバいでしょ。まあ、またもや智花さんのおかげで丸く収まったけど。
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