第25話 お手玉

世炅セギョンと着替えて表にでる。

ジンさんと安奈アンナさんが待っている。

4人で歩いてお店に向かう。

4人で外食は、久しぶりだな。

世炅セギョンは、嬉しそうに微笑む。

道の角を曲がったときに女の子が屈んで何かをしている。

立ち止まり何をしているのか女の子の手元を覗き込む。

女の子は、小石を投げて遊んでいる。

五つの小石を使っている。

「この子は、何をしているの?」

気が付くと世炅セギョンが私の隣に立ち止まり一緒に女の子を見ている。

女の子にロックオンで世炅セギョンが視界に入っていなかった。

「あれは、お手玉遊びコンキノリだよ。」

女の子が小石を投げ、その間に地面にある残りの小石を拾い、投げた小石をキャッチする。

「上手いね。」

世炅セギョンが女の子が器用に小石を操っているのを見て言った。

もとは、小石だったんだ。

だから小石みたいな形をしていたんだ。

私は、叔父サンチョンから貰った韓国お土産を思い出していた。

私は、お手玉を知らなかった。

叔父サンチョンが買ってきてくれたお土産は、韓国のお手玉だった。

プラスチックでできたケースの中にプラスチックでできた小石ぐらいの大きさの丸いものがたくさん入っていた。

その丸い物には重りが付いていて投げるとあちらこちらと予想外のところに飛んでいく。

「「波木ハキは、日本のお手玉遊びを知ってる?」

叔父サンチョンは、そう聞いてきた。

私は、知らないと答える。

「日本のお手玉は、着物の余り生地や古くなった着物生地を袋にしてその中にと小豆を入れて口を縫って閉じて小さいおはぎみたいな形をしている。」

「それを五つ使って遊ぶ遊び。」

「俺なんかの時代は、チェーリングと呼ばれる丸いプラスチックの輪に同じ輪をたくさん付けてお饅頭みたいな形にしてそれでお手玉遊びをしていたんだけどね。」とお手玉の説明と遊び方を教えてくれた。


あ、以前、悪魔デーモン探しの時に入った日本家屋でお手玉で、遊ぶ女の子達を見たことを思い出した。

確か日本人の女の子が韓国人の女の子にお手玉の遊び方を教えていた。

その日本家屋が屋敷だった事も思い出した。

お手玉は、お金持ちじゃなければ、手に入らないのかな?多分、お手玉遊びを教えてもらった女の子が家に帰って自分の姉妹にお手玉遊びを教えるときに代用品で小石を使ったのだろう。

見た感じ小学校低学年ぐらいの女の子だったから、お金もないし、着物の切れ端や小豆もないだろう。

そして、今の韓国のお手玉遊びコンキノリの形の元は、小石なのだろう。

自分で推論して納得した。


「お、お手玉遊びか。」

「やっぱ、女の子は、お手玉遊びが好きなのか?」


世炅セギョンと立ち止まって女の子を見ている私たちに気付いてジンさんは、近寄ってそう言った。

私たちは、ジンさんに笑顔で返事をした。


ジンさんは、「じゃー、行こう」と私たちの背中を軽く叩いた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る