第75話 二人のため息

「綺麗な愛らしいエイルが女性化すれば20、30以上 あるいはもっと年上のこの国の支配者たち 彼等の為の側室として 寵姫として連れてゆかれてしまう」



「少し前から、何度も・・それとない打診が来ているそうだ


それとも実は 遠い北の国

北の巨人族の王の息子の一人とも、話が来ていたらしい」


「王族とはいえ 地方の王の子供」



「あの姫の気性と格闘技の腕前なら

そんなスケベどもは 床で返り撃ちにすると思うが?

命が危ないのは 相手だと思うぞ!!」


考え込んで黙ってしまうリアン


「やれやれ、いっそエルトニア姫を連れて 駆け落ちでもしてみないか?

それとも本来なら 

リアン殿

貴方は この国の支配者・第4継承者だろう 身分の事なら・・」


そう言いかけて リアンの首や左腕

右手に巻かれた包帯に眼をやる

「そうだったな」


そうだったな…リアン殿…今度はレグルスはため息をつく




本来は優しい温和な性格なだけにつらいだろう・・。


そして、異母兄達は容赦なく最近では命まで狙われている。


あの怪我、証拠はないが・・刺客に襲われたものだ・・。


もし、リアン殿とエイル殿が結ばれたなら

逆に高い身分なだけに、確かにエイル殿まで危ないな


リアンはブドウ酒をあおるように飲み干す・・。

「最近、酒の量が増えてるだろう?大丈夫か」


「貴方ほどは飲んでませんから」とフフフと苦笑して笑うリアン


リアン殿は軍人には向いていないと思ってたが

意外だったな・・

賢くて 学者か神官か地方の行政官にでもなるかと思ったが


自分の意思とは関係なく周りに無理やり軍人学校に入られて 

命を狙われつつも メキメキと魔法と剣の腕をあげ


本来の性格から 仲間や部下に慕われ


小さな部隊で村の盗賊団を撃退して 国境近くの街を2つも隣国の部隊の攻撃から守った

この前の作戦は痛快だった


巨大な落とし穴で 敵の大軍を誘い込み

一気に落とした 下には藁(わら)を引きつめた


味方も敵も

可能なら なるべく死傷者を出したくないリアンらしい作戦

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