第52話 二人のエイルとわん子とリアン

エイルの部屋では リアンが琴を演奏していた。

暖かなミルクがたっぷりと入ったココアが鼻腔をくすぐる。

「美味しいね☆ワン子さん」 うふ


「そうですねワンワン!」 

でもワン子は 内心オロオロしていた と言うのも先程エイルさん


いえ・・

17歳の現在のエイルさんの頼まれ事を思い出していたワンワン


「あの子供時代のあの時、僕・・いえ私ね

心配するリアン兄さまに引き止められて 


アーシュに会えなかったのあの日の夜

アーシュはお城から抜け出して 

それから十年近い時間がたつまでずっと、会えなかった」


「それにお城から抜け出す時に 

見張りの兵士に襲われて大怪我をしたらしいの!

もし 城から抜け出せなかったら、アーシュは処刑されてらしいだけど」


「・・せめて アーシュが怪我などしないように 

子供時代の僕が守ってあげたいの僕がいれば 

見張りの兵士はアーシュには手を出せないだろうし


あの晩・・もう一度だけ 子供時代の僕・・いえ私に アーシュに会わせてあげたい」


「あ!」ワン子はわざとココアをこぼした!

 

「ああ!大変 タオルは・・・あれ?どこだろう?」

隣の部屋に予備があったから 僕が取ってくるね と


エイルさん扉を開けようとしたエイルさんに

「エイル!」

 「どうしたの?リアン兄さま」

「まだ、盗賊がうろうろしてるかも知れないから・・部屋から出ちゃ危ないよ  エイル・・。」


めっ!と軽くエイルさんを諭し 

それから安心させるように微笑むリアンさん

「タオルの代わりの布が何かあったよね・・ハンカチを貸してごらん」


僕の頭の上の小鳥

エイルさんが飛び立ち びっくりしたように部屋をグルグルと回る 


「え!どうしたの!小鳥さん!」と子供時代のエイルさん!! 


驚いて様子を見てるリアンさん

それから 小鳥さんはリアンさんの顔にアタック! 


「うああ!」驚いたふりして! 部屋にあった大きな飾りの壷に手をやり

 

手が滑ったふりして それをリアンさんの方に転がす ワン子


あ、案の定 壷に足を取られ転がった・・。


狙い?通り目を回してるリアンさんごめんね・・リアンさん

 

すごく~アーシュさんなんかより(おい!ワン子そこまで言うか!)


良い人なのに、すごく良い人なのに・・・あう・・ワンワン。


温和で優しくて この前 ワン子に美味しい食事をご馳走してくれて 

しかも お菓子までくれたのにごめんなさいワンワン! 


恩を仇で返してしまいましたワン! ご、ごめんなさい ワンワン! 


「エイルさんエイルさん ええつとリアンさん なかなか目を覚ましません」

(実は軽めの眠りの粉をリアンさんにかけたワン!)


「お医者様を呼んできましょう! 部屋から出ちゃいけないといわれましたがリアンさんが心配ですワン!」

エイルさんはうなずいて 僕らは部屋を飛び出したワン!

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