それなのに何故わたしはまた此処へ
揺れる足元、
既にそこに大地は無い
在るのは揺れる砂、
底へ、底へと誘い続けるそれは
蟻地獄の巣のように
わたしを飲み込み喰らおうと
けれど不安は無い
その砂の奥、穴の中に漂う
まどろむ闇の暖かさと微笑みを
わたしは知っているからだ
闇は右手で死を誘い
闇は左手でわたしの瞳を覆った
さあお眠り気持ち良いのだろう
耳元に吹き込まれる声に
零れ落ちたのは安堵の涙
それなのに何故わたしはまた此処へ
身体を焼く陽の光、
発した声は北風にさらわれた
闇の底へ沈みたい、
その方が楽だというのに
心はどこかで悲鳴を上げる
それなのに何故わたしはまた此処へ
閉ざされた瞳、
闇の右手が首を掻き切るその時に
もう一度、空を、と
伸ばしたわたしの右手は
青を願った心は
どこから生まれてきたものなのか
大地は既に無い、答えはそこには無い
揺れる砂は心、自分の中に答えは在るのか
何故わたしはまた此処へ
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