第22話 宴会第五弾
歓迎会もようやく折り返し地点である。
普通の飲み会、温泉一泊、海水浴、カラオケときて次はなんだろうと、おれは疲労感あるけれど元気いっぱいで、むしろ宴会が愉しみになったきた今日この頃である。
毎夕の食事が宿舎でとれないため、管理人のリオンさんはがっかりしているみたいだが、しょうがないよね。
それでもランボ君が主体で宿舎内の男子生徒が、朝食もちらほら食べてくれるようになったとずいぶん喜んでいた。
ごめん、今日も宴会なんだ…… リオンさん
歓迎会と言うのはまあその通りなんだけど、実のところどうやったらおれを落とせるかの、テストパターンの実践会の様相になってきてはいるんだよな。
犯罪とならないように、そしておれが嫌がらないように注意しながらの誘惑なんだ。
でも基本一対三十人なのでそれなりに安心はしている。さすがに三十人全員が一斉に襲い掛かってくるようなことはない。ないはずだ。だって同じ職場の仲間だぜ?
襲い掛かって一時の快楽は得られるかもだけど、それでおれがトラウマ抱えて姿を見せなくなったら学園にとっても大損害まちがいなしだ。
彼女らにとっても合法的に結婚できるかもしれない、わずかな可能性すらもゼロになってしまう。
で、今回の歓迎会は、なぜか『プールで大宴会』である。
早い話、宴会は二の次で、おれとプールでスキンシップを図り、水着姿で悩殺したいってことである。
泳げない彼女たちの手を引いて泳ぎを教えたり、プールの中で鬼ごっこをしてわずかに触れ合うスキンシップに興奮したり…… なんていい世界なんだ……
この新たに登場した三十人の美女をおれ一人で独占してるんだよなあ。
そしてその水着姿の美女たちを目で追ってあからさまに眺めても、ちょいと怒られる程度で基本的には皆それをうれしがってるわけさ。
品評会さながらだけど、彼女たちもそんなことは承知してる。
プールには他の男もいない。文句を言われる筋合いもない。これは職場のれっきとしたイベントなんですよ。
前回の海岸での参加組からの情報が伝わったせいなのかどうかは知らんけど、今回はなぜかビキニの水着が多かったような気がする。気のせいかもしれんけどね。
ワンピ系の水着でも大胆なカットが入っていたり、一部腹部が見えるタイプであったりしてかなり煽情的な水着ばっかりだ。
色もブラックあり、透けて見えるんじゃね?っていうホワイトあり、ショッキングピンクやパステルカラーなどなど、なんでもありだ。
そんな危なげな水着の彼女たちと、今日は『ウオータースライダー』へ、レッツゴー!である。
一人ひとり彼女たちをおれの前に座らせて、おれが抱きかかえる形でスロープをかなりな水の勢いで滑走していく。
彼女たちの背中側から腹部へと手をまわしてなるべくがっちりとホールド。
「ユウ先生! もっとしっかりとホールドお願いします!」
最初は後ろから遠慮がちにホールドしようとしたら猛烈に怒られた。
息子よ…… しばし寝て待て…… 我慢しろ……
後ろから回した腕が、彼女たちの発達した胸にあたることはもちろんあるよ。三十人それぞれの感触を楽しみながらのウオータースライダー…… 楽しいことこの上ないです。
滑り終わって最後の小さなプール内に水しぶきを上げながら放り出されると、彼女たちは決まって歓声を上げながらどさくさにおれに抱き着いてくるのである。
でもこんなにうれしそうに抱き着かれたら拒否できませんよ。
そりゃあ 息子さん、元気になりますって…… そうならなきゃ、おれ男じゃないし……
男の極端に少ないこの世界では、女性の多くが性的アピールする場さえない。もちろん性欲を満たすこともできない。そうなればどうなるか……
がまんするか、頑張って相手を見つけるか、はたまたガールズラブの世界へと踏み込むか、あとは自己処理するしかない。
この場は自分自身のアピールできる貴重な時間と空間、だれにも邪魔されることもない婚活の場なのだ。
その中からじゃあ、あの子とこの子って言う風には今のおれには出来ないな……
まだそれをやるには早すぎる。
本当の二十三歳だったら無理だったね、多分。欲望のままに突入していただろう。
「はい、ユウ先生、ドリンク」
三十人最後に一緒に滑り降りた彼女が、おれに飲み物を取ってきてくれた。
彼女の水着は前世で『マイクロ○○○』といわれていたタイプの水着で、これってほとんど裸でしょって言うくらいのきわどい、隠す面積最小の水着である。
決して小さいとは言えない形の良さそうな胸は、輪郭がほぼ生で丸見えである。
案の定、ウオータースライダー最後のドボンで彼女の水着ブラは取れてしまった。
狙ってやったわけではないだろうが、そのまま首に抱き着かれたおれの胸と彼女の胸は生でドッキングである。 こりゃたまらんわ……
現場を見ていた他の二十九人には大急ぎで引きはがされていたけど…… うんうん役得役得である。鼻の下伸びてるって? 上等ですよ、そんなの。
「ああ、ありがとう。さっきはごめん。その……君の……」
「先生、気にしないでいいよ。わたしの水着のせいだし……えへへ…… それに、うれしかったし…… とっても」
そうかそうか……よかったね、おれもうれしかったよ。
「先生って、えっちだってわかってるけど、絶対一線を越えようとしないね。それって鉄の意思ってやつ?」
そんなことはないです……
「そうだよね…… 一線越えたら結婚しなきゃだから、しょうがないよね……」
そういうことです、はい……
「じゃあ、学園の職員で希望する全員と結婚すればいいんじゃない? そうしたら丸く収まるんじゃ……」
いや、それおれに早死にしろっていってるんですよ? 三百人……毎日一人ずつ相手しても一年かかるよ?
「先生、みんなはさ、次の順番が一年後だって言っても納得するんじゃないかな」
彼女と会話をしていると、周りのみんなも会話を聞きに集まってきた。
「えっと、そういうのって我慢できるのものかな…… 女性側として」
「先生、もっと自分の価値を再認識したほうがいいよ。だって先生みたいなイケメンの奥さんでも愛人でもなれたらさ、少なくとも一年に一回だとしても、女として一生暮らしていけるんだよ。最高じゃん」
う~ん、彼女の言うことももっともではある。あるがしかし…… おれの身体が持つのだろうか……
「いくらいい女でも、男性と会う機会もなく、女としてアピールする場もなく、そして朽ち果てていく人生からみれば、少なくとも一年に一回でもかわいがってもらえる人生を選ぶよ」
まわりで黙って話を聞いてる二十九人も首肯する。
「それに先生だって嫌いじゃないんでしょ? 女を抱くの」
「そりゃもちろん、嫌いどころか、大好きの部類だと……」
「きゃ~ やっぱり聞いちゃった! ユウ先生、経験者!」
「ねえ、ねえ、先生に抱かれた幸運な女性はどんな人だったの? いつ? どこで?」「何人くらいの人を抱いたんでしょうか?」「その時の先生の気持ちは?」「その人のこと好きだったの?それとも流されて?」「相手の女性は今どこで何してるの?」「あれは気持ちのいいものなのですか?」「何人とえっちしたの?先生」
大騒ぎである……
いや、ちょっと待て…… そんなに一斉に質問されても答えられん……
夏の日の夕方の一コマである。
その後、プールから会場を移して室内では日焼け顔の男女一人と三十人がこれまた大宴会へと突入していく。
この夜、やっぱり間違いは起きなかったことを報告しておこう。
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