第21話 学園案内パンフレット
日中の暇な時間に、校長から依頼のあった『学園案内パンフレット』の表紙のモデルとなるための撮影会なるものにいってきた。
カメラマンは当然写真のプロである。もちろん女性、言うまでもなく美女です……
いや、この世界で美女でない女性を探す方が難しいんだって…… もうそれが普通なんで慣れてしまったともいえるけど……
このまま元の世界に帰ったら絶対この世界に舞い戻るって言えるほど美女ばかりなんだよ、実際……
撮影場所は学園内である。
もうわかるよね…… 撮影会場では、授業のない女子生徒がわんさか集まり、撮影場所の移動にもぞろぞろと皆ついてくるわけよ……
基本モデルはおれだけなんだが、試しに一枚と言うことで、女子生徒の中から一人だけ一緒に写るモデルをとお願いしたら収拾がつかなくなった……
カメラマン、舐めすぎだろこの学園、いやこの世界の女性を…… ってあんたも女性でしょうに……
「すみませんでした、わたしの配慮が足りませんでした……」
「そうですね、ちょっとまずかったですね……」
「暴動一歩手前にまでなるとは思っていませんでした……」
撮影会は急きょ中止。後日撮影用のモデルを女子生徒から三名、職員から一名を選出することにした。これはこれでまた大変だったのだが、別の話ではある。
おれと一緒にパンフに写るパートナーとしての選考会が一躍、ミス学園の一大イベントになってしまったんだよ、早い話が……
学園紹介パンフレットは数週間後に完成することになるんだけど、これがまたすごかった。
出来上がりと共に学園外に配布する予定だった分はすべて学園内で消え、さらに増刷しても間に合わず、さらにようやく外部に配布した途端に問い合わせが殺到。一時学園の事務所の電話回線がパンクしたそうだ。
なんでも外国からも『貴校のパンフ送れ』の問い合わせが殺到してしまったらしい。
こりゃあ来年の受験時期に備えて対策が必要ですよ、校長先生……
学園内ではそのパンフレットからおれの写真部分を切り取り、ある者は財布、ある者は定期入れ、そしてある者はロケットペンダントの中に入れて首を飾る女子生徒で溢れていたたとかなんとか…… まあおれの知ったこっちゃないが……
おれ自身が危険にさらされなきゃどうでもいい話なんです。
「おぬしのブロマイドを売りたいんだが……」
校長、そこまできたのか……
パンフの大反響を見てついにおれの写真というかブロマイドを学園公認で販売することになったらしい。
ボーナスくれればOKですよ、校長。
「売り上げの二パーセントでどうじゃ?」
「いや十パーセントはもらわないと……」
「いやさすがにそこまでは…… じゃあ五パーセント」
「いやいや、七パーセントで。これ以下なら却下ということで」
「う、仕方がない……七パーセントで手を打とう」
校長とおれはがっしりと握手した。
パーセントという概念あったの?あれ掛け算だよね?
「パーセントの概念はあったのじゃ。どう計算するかはすべてアーティファクト」
あ、そう…… よくわからん世界だな。
初回印刷は百万枚だそうだ。おいおい売れ残るんじゃね?
一枚が二百円だそうだ。一枚当たりのおれの取り分は十四円である。それが百万枚……
売り切れたら一千四百万…… おれは何もしなくてもこんだけ稼げるかもしれない。いや確実に売れる見込みがあってやってるはずだ。さらの増刷されれば……
『テレビ局がの、先日やってきたわ。国営放送じゃ今度は…… 出演料交渉させてくれとのことじゃ。王都から帰ったら大忙しじゃの。わしも儲かるWIN-WINじゃ」
百万枚が売れると学園の粗利はおよそ一枚当たり八十円だそうな。トータルで八千万円。
おれに払う給与など楽勝ですな。
当然テレビに出演となれば、利益がいくらかは学園に入ることになる。さらにおれを使ったグッズの販売も増やしていけば…… 天井知らずに儲かるかもしれない……
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