第20話 王宮からの『招待状』と言う名の『呼び出し』です……




「おぬしも理由はわかっておろうが、この国の王宮より呼び出し状じゃ」


 校長室でのおれと校長のお話合いである。


 まあね…… 魔術総論の授業でに一件でそうなることは予想してたよ。っていうかそうなるように、ちょいとおれの知識を公開したわけだが……


「すでに王国の中枢にはおぬしのことは『男性高校教師』として知り渡っておったがの」


 ふ~ん、そうなのか…… そこまではまだいってないとないとも思ってた。案外情報早いな……


「ざっくばらんに言っておぬしを取り込もうとしておるのは間違いない。いずれは人間国宝として認定して、宮廷魔術師なりの席を用意しているはずじゃ」


 それも想定外です。


「それとな、おぬしの人となりをみて、十数名の王女のだれかと娶らせるつもりじゃろうて」


 ああ。それも当然ありうるよね。逃げられないようにハニトラですな。


「驚かんのだな、まったく。こんな話をされれば普通は驚くじゃろ?」


 いいえ、全然…… おれは見た目は二十歳そこそこの若造でも、実際はご老人一歩手前までは生きてきた男ですから……


「まあ、ともかくも王宮からの呼び出しには応じなければならん。出発は一週間後じゃ。ここから王都までは魔道列車で三日間の旅じゃ。それも楽しんでくるといい」


 おお、この国に来て初めての旅行かな…… 旅の友はおらんのかいな



「先日頼まれておった秘書の件、二人用意した」


 校長がパンパンと手を叩くと、部屋に二人の女が現れた。


「ドーラです」「シータです」


 なに? ドーラさん、シータさん?

 あの天空の城○○○○のサブメインキャラと同じ名前ですか?


 ドーラさんはやや年長のすらりとした美形…… この人が歳をとったらあのドーラになるの? とても信じられないな…… ってそんなわけがあるはずはない、いやないと信じよう。

 一方のシータさんは名前のとおり、あのヒロインキャラがもう少し大人になったようなちょっとだけ草原の匂いがしてきそうな純情そうなお嬢さんである。


「二人はな、ここの職員じゃが、おぬしとはまだ歓迎会には参加しておらん。一応武術も使えるし、頭も優秀じゃ、安心せい」


 いや、不安材料はそんなところではなくてですね……


「ああ、心配無用じゃ。彼女らがおぬしに性的なことを迫った場合、極刑に処せられる。そのことは二人とも了解済だし、契約書も交わしてある」


 え? そうなんですか?


「だがの。おぬしから手を出した場合は別じゃ、きっちりおぬしには責任とってもらうがの」


 するってえと彼女らから手を出すことはないけれど、おれから手を出すように仕向ければ問題なしどころか、彼女らは嫁入り先の確保ができ、おまけに将来の国宝としてのおれの秘書あるいは嫁、はたまた弟子としてかはわからんけどいいことずくめじゃね?


「「よろしくお願いします、ユウ先生!」」


 ニッコリとほほ笑んでおれに頭を下げる二人…… かわいい…… なんでこの国のこの世界の女性はみんながみんなかわいいんだ…… それも皆個性がある『かわいさ』なのだ……


「ユウ先生には折り入ってお願いがあります?」


「はい?なんでしょう?」


「この機会にわたしども二人を先生の秘書とは言わず『弟子』にしていただけないでしょうか?」


 まあ そうなるよね…… 弟子となればおれから『知識』の伝達がスムーズにいくし、いずれは王都へと出ていくかもしれない立場から考えると、最低でも学園に後継者が育っていた方が校長としては安心できる。


「それはわかりました。あなた方をわたしの弟子として受け入れます」


 校長のうむうむとうなずく顔がうざい…… 思惑に乗ってやったんだ、何かお礼の一つもよこしやがれってんだ!


「わたしたちは弟子一号、二号ということですね」


「あ、いえ、弟子はすでに二人いますよ?」


「「「え?」」」


 校長、ドーラさん、シータさんの合唱……


「実は先日立ち上げた空手部の二人からも部員としてでなく、『弟子』にしてほしいとお願いがありまして……」


「なるほどの、そういうことか……」「残念です」「でも弟子であることには変わりありません」


「それで、校長、その空手部の二人も王都への同行を許可してほしいのですが……」


「それは構わぬよ。校外研修ということにしておいてやろう」


「ありがとうございます」


「それと、この二人でも護衛の任は任せられるのだが、それだけではいささか心もとなくもないのでの……別途護衛を十人つける。出発の時に紹介しよう。いずれも信用できる者ばかりじゃ」


 ほお?さらに美形の護衛が十人ですか…… ま、いいか。 襲撃でもされたら目も当てられん。


「出発までの一週間は、ゆっくりしておれと言いたいところじゃが、残りの歓迎会もしっかりと頼むぞ、ユウ先生」



 あ、それはキャンセルじゃないのね…… やりますよ、やりますとも……


「…… 添い寝とチークダンス、ゆめゆめ忘れるでないぞ……」


 ボーナスの一つも出せよ、ロり校長!


 さて宴会第五弾…… 何がでてきますかねえ……

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