第119話今はこじと 思ふものから 忘れつつ

                         よみびとしらず

今はこじと 思ふものから 忘れつつ 待たるることの まだもやまぬか

(巻第十五恋歌五774)


今のような関係になればもう来られないでしょう、と思いながらも、それを忘れてしまうのです。

そして、おろかにも待ち続けてしまう、そんな悪い癖がなかなか治らないのです。


おそらく別れを切り出された相手、自分も思いを断ち切ったはずの相手なのに、そんなことをいつの間にか忘れてしまい、性懲りもなく待ち続けてしまう、そんな悪癖を自嘲している。


男女の別れの難しさ詠む名歌と思う。




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