第30話 後始末

植物が活動を始める早朝までに、奴らを焼きに行くため、火が出る不思議な魔石を買い、現実で言う3時には現地に着いていた。


「よく燃えるじゃねぇか!昼間は散々俺たちに嫌がらせしてなのによォ!」


あれから、ほぼ徹夜である俺たちは疲労でヨタヨタとした足取りなのだが、現代っ子であった俺は、なんなら今からが活動時間だった。

他の3人は、不思議なものを見るような目でこちらを見ていた。


「ねぇ、あの人なんでこんな時にあんなたテンション高いの?実は魔族とかそういうのはない?」

「多分違うと思うんですけど。徹夜で頭がおかしくなったんでしょうか。いつもは、うんざりした顔でやってるんですけどね」

「そうよね、おかしいわよね」


どうやら3人は、まだまだ元気ではないらしい。

訓練を受けた人じゃないとしんどいか?

しょーがねぇなー。


「3人はきついんだろ?2時間くらい寝てていいぞ」


何故か目がギョッとしている。

そんなに休むのが苦なのか?

優しくして驚かれるとか、少し傷つくんだけど。


「どうした?嫌なのか?」

「い、いえ、珍しい事を言うので驚いただけです。休ませてもらいます」

「ねぇ、ほんとにどうしちゃったの?病院行く?いつもなら『ほら、さっさと燃やせよ。じゃないとお前らを燃やすぞ?』くらい言うでしょ!」

「カラフルなキノコでも食べた?」


すごい言われようだな。

仕方ないじゃん、深夜テンションなんだから。

みんなも、この時間帯だとテンション上がるよな?な?


「まぁまぁ、パーティメンバーを大事にするのは当たり前のことだろ?」

「確かにそうですけど....」

「優しすぎてキモイというか」

「裏がありそうよね」

「ひどい!」

「そんな、泣かないでも」

「優しくしただけなのに.....」

「嬉しいんですよ?けど、こう、優しくされるのに慣れてなくてね?」

「そ、そうよ!いつもそんな余裕なかったしね?」

「優しくて素敵よ?うん、いつもより何割か増しで!」

「グスッ」

「「「めんどくせええええ」」」


3人は慌てる。

このパーティ結成以来、リーダーであるソラがこんな風になったことなんてないし、ましてや迷惑をかけたこともあまりなかった。

3人が慌てるのは仕方がないのである。


「まぁ、いいや。考えたら、別に傷ついてないしね」

「もう捨てましょうよ」

「そうね、いらないわ」

「な、何かあるんですよ!きっと今だけですよ!」


俺、こういうのなんて言うのか知ってる。


「ははは、あんな慰めてくれたのにツンデレか?」


なぜこいつらはため息をつくんだ?

あれか、図星で恥ずかしくなったのか?これだから、ツンデレの星に生まれたヤツらは。

しょうがねぇな、あんまりつかないでやるか。


「ふっ、黙っててやるからさっさと焼きに行くぞ」

「なんでこいつは、優しくしたみたいな顔で見るの?アホなの?」

「焼く?あいつ焼く?」

「流石にイラッとしましたね」


俺の掛け声で、各々が焼いて回る。

森の中へ入り、あまり離れない位置で探すが、とても大変だ。

何が大変って、暗いから匂いくらいでしかまともに分からないし、何よりそれが臭い。


「〖チャイター〗.....7匹目かな?もっとバタバタ倒れてるイメージだったけど、全然多くないじゃん」


もっと、こう、バタバタと倒れていて死屍累々としているイメージだったのに。


「なんかつまらんな。ゴリラと死闘を繰り広げたって言うのに。いや死んでないんだけどね」


次々と、死骸が燃えていく。

根を張っていた植物たちが、苦しそうにのたうち、その果てに力なく倒れていく。

また、つまらぬものを焼いてしまった。


「お、おれはまた....ひとつの命をっ!」


・・・・・。

殺した罪を被った騎士ごっこしてもつまらんし、気分だけでも盛り上げるか.....。

あれだよな、焼くって言えば。



「ーーーーー」

「?」

「ぁぁぁぁ」

「誰かいるのでしょうか?メラメラと燃えていますが」

「汚物は消毒だああああああああぁぁぁ」

「ひっっ!」


なにか物音が....。

気の所為だな!


「敵ですかね....。」

「ん?」


確かに聞こえた。

けれど、敵?そんなものどこには...。


「近くにいるから、駆けつけてくれると思うし大丈夫だよね」


意を決したように、声の主が行動を起こす。

金属音を鳴らしながら。


「てりゃああああああ!」

「?!」


弾丸のように飛んでくるティア。

その姿はまるで、いつものような魔物に突撃するような...


「って、おい!俺だよ俺!」


ブリッジになった俺の目の前を、高速の刃が通り過ぎる。


「お前、気づかないのかよ!」

「え、あ?ソラさん?に似た何かですか?」

「ちげーよ、盗賊のソラだよ」

「あ、そうでしたか。かなり荒ぶってましたね」


見られていたか。

今更ながら、深夜テンション出してたからめちゃくちゃ恥ずかしい。

顔から火が出る。

めっちゃ出る。

なんなら、後ろで燃えてる。


「そんなことより、いくら燃やした?」

「私は9匹ですね」

「そんくらいだよなぁ。なかなかいなくない?」

「私、死体を食べてるのを見かけたので、おそらく食べてるのかと」


それはいいな、俺たちの手間が省ける。


「よし、街に帰ろう。」

「もう帰るんですか?どうせなら、家を見に行きませんか?」

「そうだなぁ、二人を呼んできてくれるか?」


嬉しげに、茂みの奥に走っていく。

その時、緊張の糸が切れ床にへたり込む。


「はあ........怖かった。トラウマがよぎった。」


そう、魔物を素手でぐちゃぐちゃにした2度もある事件。

体育座りで蹲っていると、声をかけてくる。


「あら、どうしたの?そんな所で蹲っている」

「ひっ?!あ、なんだお前か。頼むから脅かさないでくれよ....」

「なんだとは何よ。家に行くって言うから来たあげたのに。あら?美味しい匂いしてるわね」


今は、こいつとの会話もほのぼのするなぁ。


「ありがとう、本当に」

「なんかおかしいわよあなた。なんで泣き出すのよ。その顔で抱きつかないでよ!」


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このパーティ何かがおかしい しゃけ @shake46451

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