第28話 2度目

意識が少しずつ戻っていく。

まどろんでいた脳が再起動していく。

そして目を開けると.....。


「次のリーダーは私ね!知略といえば魔法使い!」

「礼儀正しさからいって私ですね」

「ここは、年の功の私にね?」


新しいリーダーを決めていた。


「くそったれええええ!!好き勝手言いやがって!」

「生き返った?!私じゃ回復できなかったのに?!」

「折角、盛大に焼いてあげとうと思ったのに、あなたって人の気遣い無駄にするのが好きなのね」

「腐ってませんか?」


こいつら....。


「死の淵をさ迷っていたのに、酷くないか?もっとあるじゃん、手を握って泣き崩れてるとか、告白してるとかさ」

「そんなん言ってるから告白されないのよ」


ぐうの音も出ない。


「で、でも、生き返ってよかったですね!ぱ、パーティしましょう!」

「そうね!パーッやりましょう!」

「俺は騙されないぞ、お前らノリノリでリーダー決めてたろ」


さすがにコイツらもバツが悪いのか、全員が気まずそうに目をそらす。


「だって、しょうがないでしょ?!あんな光景見たら」

「ほう、言ってみろ」


すると、口を抑えて、顔色を少し悪くしながら呟いていく。


「あれは、ソラさんがゴリラと戦っていたのを探していた時よ。辛うじてグレアが見てたから、その方角に行ったんだけどね、ゴリラが凄い勢いで逃げていくの、それも全身に傷やらナイフやらが刺さった状態でね。その後ね、ゴリラが来たところをたどって言ったの。するとね....うぅ」


ついに、セリナがボロボロと吐いてしまう。

とてもこの先に、見てはいけないものを見たみたいに。


「そこで、横たわってたのよ。あなたが。野生動物に囲まれてね。ほら、野生動物って食べるじゃない?お肉。もちろんあなたも、それはバリバリとね.....」

「もういい、もういい!分かったから」

「でも、びっくりしたわよ。急いで追い払ったあとね、目も当てられないからどうやって運ぼうか悩んでたら、いきなり光り出すんだもん。あなたもしかして虫だったりする?」

「失礼な、正真正銘人間だよあほんだら。でも、光った?なんで?」

「魔法陣のようだったけど、あれ、かなり高度よ。多分賢者クラスか、それ以上ね」


多分女神だよなぁ。

てっきり、使えないと思ってたけどちゃんと女神してるじゃん。

女神の評価を5に上げていると、おずおずとティアが聞いてくる。


「ほ、ほんとに大丈夫なんですか?腕もってかれてましたけど」

「えっ」


急いで腕を見ると、きちんとついていた。

ちゃんとグーパー出来てるな。


「び、ビビらすなよ。ホントについてないと思ったろ。やめろよな?」

「いや、無くなっていたのは本当なのに、なんでついてるのかしらね。基本外れた腕とかって、くっつけて治癒するもんなんだけど」


まじかよ、俺の腕どっから生えてきたんだよ。

もしかして、スキル欄にトカゲ(尻尾)とかあるの?

まぁ、女神のおかげなんだろうなぁ。


「ついてたもんはしょうがないし、早く報告に行きましょ」

「何仕切ってんだよ、お前いちばんなんもしてなかったな」


ビクッと、グレアが身体をふるわす。

こればっかりは言わないと。


「お前、いっつも隅に飛んで言ってるだけだよな。そんなんじゃ置物と変わらんだろ。しかも玄関の方に置いてある、邪魔なやつな。」

「い、一応魔法とかかけたわよ?ほら!アンデッドだって倒してたでしょ?」

「アンデッドはな、夜にしかいないって聞いたぞ。しかも、魔法をかけるだけならスクロールでいいぞ」

「ま、まぁ。後々驚くから。そのうち筋トレして、武器をもてるようにするから」

「それやらないやつだろ」

「やるわよ、やってやるわよ!今から!」


やけくそ気味に腕立てを始めたグレアは、その体制に移るだけで、へばる。


「....ふぅ、今日はおしまいね」

「お前ふざけんな、弱点をなくそうとするから偉いなって思ったけど、ふざけんな」

「わ、私の筋力は3よ」


そんな、棒上司にしたい悪役みたいなこと言われても。

このパーティはこのパーティは欠陥が多いんだ。

今更増えても減っても変わらないよね。ね!


「わかった、わかったから。もういいよ」


俺は、大人しく諦めることにした。


「何よその、ダメなものを見る目は。ホントよ?ほんとにやるから、明日から!」


ダメだこいつは。


「よーし、帰るか!」

「「おー」」

「私って、ダメな人じゃないわよね?魅力的よね?」

「そうそう、きっといい反面教師になれるよ」

「ありが...褒めてないわよねそれ。何よ反面教師って、私に欠点があるみたいじゃない」

「よく分かってるじゃないか。今気づけてよかったな」

「ふふふふふ、いいこと?あなたがトイレに行く時に背後に気おつけなさい。そこには、地面をも揺らす美魔女が立ってることよ」

「何言ってるかわかんないが、そんなことしたら悲鳴をあげるからな」


なにか怪しい手つきをしているグレアを放っておき、俺は帰り支度を進める。


「そういや、倒した証になにかあいつの素材がいるよな?あと植物の方も」

「あ」

「あ、ってなんだよ。あって」


この話題を切り出した瞬間、セリナの方がブルブルと震え出す。


「いや、わざとじゃないのよ?正当防衛っていうか」


どうやら、何かあるようだ。


「やっぱりさ、襲われた時って1番効くものを唱えるのが当たり前じゃない?」

「いいから、なんだよ」

「......実はね?」


沈黙して、答えようとしない。

どうやら何かやらかしたようだ。

しかし、本人の意思を知ってか知らずか、ティアが沈黙を破る。


「セリナさんは、今日は大活躍でしたよ!なんと言っても、あの炎魔法!敵を、灰になるまで燃やしたんですから!」

「?!」

「おい、灰ってなんだ。お前まさか、証となる素材全部焼いたのか」

「はい....灰だけにね」

「アホか」

「ぶったわね!私の賢い頭を!」

「うるさい!今から探しに行くぞ!」

「もう私疲れたんですけど」


嫌がるセリナを、引っ張り連れていくソラであった。

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