第27話 女神再臨

「おかえりなさい!今度こそちゃんと来ましたね」


ゆっくりと目を開けると、見覚えがある場所だった。

そう、現実離れした異次元な空間。

通称、神界。そう、あのクソッタレな女神がいる所だ。


「あああああ!ここであったが100年目ぇぇえええ!」

「ぶべらっ」


考える前に、手が動いていた。

振り上げた拳は、女神の頬を真っ直ぐ捕らえ、奥まで撲りとばす。


「ふぅ....スッキリしたぁ」


多分、異世界に来た中で1番スッキリしたよ。


「よし女神、これで許してやる。で、要件はなんだ」

「め、女神に手を上げるなんて、生まれて初めてよ!折角にっこりと笑顔を向けたあげたのに!これじゃあ、笑顔損よ!」

「何が笑顔損だ。お前じゃ何もときめかねぇんだよ、犯罪者!」

「だ、誰が犯罪者よ!あれは仕方ないことなのよ?そう、正当な理由がね!」


あれか、怒られたって言ってたヤツか。

どうせろくでもない理由なんだろう。


「そう、それは雪の降るとても寒い日のこと.....」


要約するとこうだ。いちいちドラマ的な要素がうざったかったが。

まず、転生者を送り出す時に渡す特典を生み出すのにも、力をとても使って神といえど生産が追いつかなかったらしい。

そこで彼女が考えた画期的な作戦が、ほとんど説明せず送り出すというもの。

つまり、騙して送るというものだ。

しかし、そんなものはすぐさま却下され、厳重な注意を受けることとなった。

しかし、それを悪く思った女神は俺の担当の時にそれを強行したらしい。

つまり、俺は被害者でこいつは人間的にも神様的に見ても犯罪者ということ。


「結局変わらねぇじゃねえか、このくそ女神いぃぃぃぃ!」

「ご、ごめんなさい!ってなんで私が謝ってるのよ」

「どうやら自覚がないようだな。俺には奥の手があるんだ、機関車になりたくなかったらやめる事だな」

「あれでしょ?煙でしょ?女神である私には、そんなの聞きませんよ、ふふふ」


くそ、お見通しかよ。


「女神の偉大さがわかったところで、本題にいきましょうか」

「話逸らしてるけど、物理は効くからな。」

「そんなことしても、女神流バリアーが炸裂するので痛いだけですよ?それより、あなたは今危ない状況にいます」


なんたらバリアーが気になるところだが、危ない状況とはどういうことだろうか。


「ほら、サポートしてくれるんだろ、何とかしろよ」

「あはは〜☆今更言うけど、お互い忘れてたでしょ?」

「確かに、そもそもお前という存在も忘れてたよ。チートもないから、生活で精一杯だったよ。くそったれ」

「それは可哀想ね、私なんて最近猫飼い始めてね。ほんと可愛いのよ」


なんだコイツ。


「そんな暇あったらチートくれよ。ほら見るだけで殺すとか」

「どんな邪神のチートなのそれ。そんな禍々しそうなもの、頼まないでよね。というか私ってば、作れるチートはせいぜい冷えたおかずを一瞬であっためてくれるとか、勝手に明かりをつけてくれるとかよ。」

「便利だけど要らねぇ」

「失礼なこと言うのね。私の今の生活では、とても便利よ」

「なら、そのチート持たせたまま日本に返してくれよ」

「ダメよ。だって絶対魔法で悪さするでしょ」


ちっ、バレたか、日本で魔法が使えたらYouTubeで1儲けするのに。

ハイハイと、話を途切らせるように手を打ち、話し始める。


「話を戻すけど、あなた今危ないわよ。ここって本当は死んだりしないと来れないし」

「え?ということは死んだのか?」


困ったなぁ。

アイツら置いてきちゃったよ。

帰りたいけど、あいつらじゃ上手くいかないだろうし。


「正確には死んでないんだけどね、仮死状態のあなたをズルして呼び出したのよ。それで、伝えたいことがあるのよ」

「なんだ?俺のことが好きなのか?ごめんなさい」

「なんでそうなるのよ、なんで振るのよ。そんなアホなことが言いたいんじゃないのよ。今回は、スマホの見ないあなたに、おすすめの情報があって呼び出したのよ。」

「どうせ、着ぐるみの中には実は人がいた、とかそんなくだらない情報だろ?分かってるんだよ」

「えぇ?!入ってたの?今はそんなことはどうでもいいわ。あなたにおすすめのスキルのコーナーよ」

「そんなコーナーは知らないが、なんか教えてくれんのか?」

「私は、生活に長けた女神よ?気が向いたから良い奴教えてあげるわ」


ほんとかぁ?


「なんとね、火の魔法よ!」

「どうせ、踏んでしまった靴の部分が自動的に魔法とかだろって....ええ!」

「しかも、調節自由なやつよ!その名も『チャイター』よ!」


どことなく聞いたことある名前だな。なんだろう。


「この名前はね、チャッカマンとライターを合わせたのよ。どう?かっこいいでしょ」

「お前、調節自由って......そういう調節かよ.....。どこまでも、残念な女神だな」

「残念とか言わないの、そういうこと言ってたら蘇生させないわよ。あれ結構手続きめんどいんだからね?」

「お前そんなこと出来んのか?!見直したよ女神!そういう所だよ!そういう所見せてけよ!」


唐突に褒められて、女神が狼狽える。


「いきなり褒めてどうしたの、女神に緊張し始めたの」

「ない」

「失礼ね、これでも崇拝されてるのよ?まぁ弱小だけど」

「でしょうね」

「もういいわよ!あなた帰りなさい、今すぐ!」


女神が魔法を発動させると、体が浮いてくる。

魔法陣が体をつつみ、少しづつ体の感覚が無くなっていく。


「最後に、そろそろ次の町へ行ったらどう?」

「俺はいいよ、あの仲間じゃ絶対ろくな目に合わない」

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