第21話 無双系ハーレム野郎

「もしかして、違う日本から来たのかい?いきなり殴りかかってくるとかやばいよ?」

「さっきのはしょうがないだろ。イケメン税ってやつだ。大人しく納めろ」

「君はバーサーカーなのかい?!」


聞けば、チートを貰ってこの世界に降り立ったのも、俺が来た時より早いらしい。しかもイケメン。

そして、そこそこな有名な冒険者にもなっていてまさに人生右肩上がり。しかもイケメン。


「.....さっきのは無かったことにしてあげるよ。気お取り直して、僕の名前は前宮司 隼也。しゅんやって読んでくれると嬉しいな。」


こいつは、生まれ持っての天然系すかしイケメンらしい。俺にもニコッとしてきた。危うく惚れかけたわ。


「さっきのは悪かったなイケメン。俺の名前は天谷空。見ての通りの盗賊だ。」

「空か....。あのへっぽこパーティって噂されてる人だね。辛くなったら僕を頼るんだよ?どんな敵でも一撃だからね。」


なんだよこいつ、ちょっとチートがあるからって。俺も本当はチート持ちでウハウハだったのに。

なんだろうこの敗北感。いや、何かに負けたわけじゃないんだけどね。


「じゃあ、俺はこれからゴロゴロするから」

「まあまぁ、そう言わずにね。ご飯でも行かないかい?先輩として俺が奢るからさ。」

「いや、弱くても恵んで貰うほど何かを捨ててきてないしいいよ。」

「出会った記念だと思ってくれたらいいよ」

「いや、なんだよナンパしてんのかよ」

「そうだとしたら?」


こいつ怖い。チート野郎なのに周りに女の子がいないからなんでかと思ってたけど、もしかしてあれか?あれ。


「少しだけね、日本談議しよう」

「まぁそれくらいなら」


ここまでしつこいし、付き合ってやらないと申し訳なってくるし、いいや。

というか、しつこく言い寄られている女の子ってこんな感じなんだろうか。もしかして昔のあれも......。考えるのはやめよう。

少し距離を空けつつ歩いて向かう。




「どうだいここは、個室になってて周りを気にせず食べることもできるし。なかなか穴場だよね」

「確かにそうな。しかもメニューもなかなか多いじゃないか。」


ギルドの食堂で食べたりすることが多かったから、あんまりお店とかに言ったことがなかったけど、中々にメニューが豊富だ。


「でも聞いたことが無いものばっかり....なんだよぶっころーのヘロヘロって、食べたくなさすぎる」

「そこら辺は食べたことがないんだけど、これとかどうだい?」


指を指したところ見ると、訳の分からない肉を焼いたものらしい。マルーネってなんだよ。


「ははは、そんな怪しまなくてもいいよ。それは安全なものだから。」

「俺は、怪しきものは罰する性格だからな。姿が見えないと食べたくないんだよ。」


やっぱり、性格くらい欲しいよなぁ。


「君、弱そうだけど図太く生き残りそうだよね。例えば死にかけても、草でもたべて生き残りそう。」

「失礼な。そうなる前に引退してるよ。俺は」

「やめるのかい?!君は本当に日本から来たのかい?その考えって....もしかしてニートだった?」


失礼な。ちゃんと学校行ってたわ!ちょっと孤高だったけど。


「まぁ、せっかく来たんだから。お前と同じものをくれよ。」

「初めて会っときは、こんなに仲良くなれると思わなかったよ。」


絶対こいつモテただろ。もう友達呼ばわりとか、仲良くなれる自信が無いんだけど。

なんだかんだ言いながら食べ終えた俺は、店を後にしようとしていた。


「あれ上手くないか?とろとろの肉。あんな柔らかいの食べたことないんだけど」

「気に入ってもらえて何よりだよ。また今度も行こうね」

「.....奢るって言うならな」

「肯定だと受け取っておくよ」


こいつと話しているとどうも調子が狂う。潜在意識でこいつに負けを認めてるんだろうか、どうも強く出れない。


「じゃあ、また今度な」

「良ければ一緒に冒険しないかい?」

「んんん?」


なんだこいつ。弱そうとか言ってくれちゃったくせに。でも正直魅力的なんだよな、今のパーティはいつ壊滅するか分からないほど弱いし。でもこいつ、怪しいんだよな。


「ちょっと考えさせてくれないか?」

「いや、待たない。今すぐ答えてくれ。誤魔化さないでくれ!」


ちょ、顔!顔近いんだが?!鼻息も荒いって、こわいって!


「ちょっと、嫌なんだが。あ、お前ケツ触んな。正体現したなお前!もう嫌だ。お前が強くてもパーティなんか組みたくないって!」

「そんなこと言わずに。養ったあげるから。その代わり毎日一緒に寝て、抱きしめさせてね?」

「嫌だよ!美少女に転生してからこいお前。俺は女が好きなんだよ」

「ふふ、そんなこと言えないようにしてあげる」

「ひいいいいいいい」


こいつ、めちゃくちゃ力強いし。掴んだ腕を振り解けない。ホント危ないって!ナニが!


「ちょ話せお前、『スモッグ』」


さっき教えてもらったばかりのスキルを、ホモの口の中にぶち込むと苦しそうに倒れ込む。


「なんてことを、殺す気か?」


逃げないと、逃げないと!


「逃がさない、絶対にね!」


さっき食らわせた煙も相まって、悪魔にしか見えない。本当にこの世界の人間は、ヤバいやつしかいないのかよぉぉおおおお!

その見た目に驚くあまり、コケてしまう。


「やっと受け入れてくれるみたいだね。嬉しいよ!」

「ちょやめろよ!ち○こ当たってんだよ!」

「いいじゃないか。俺たちの前にはそんなものないんだよ」

「ぎゃあああああああああ!」


もう俺ダメみたいだ、ここで女の子にされるんだ。


「そこまでよ!この性獣!」

「そ、その声は....まさか!」

「覚悟しなさい、今すぐそこの男から離れないと私の魔法があなたを滅ぼし、二度と男の子として生きて行けなくするわよ!だから離れなさい!」

「そんな前置きいいから早く!ズボン半分脱げてんだよ!」

「あの時見たいね!行くわよ『ライトニングⅡ』」


手から放たれた雷撃は、瞬きの間に俺たちの元へ近づき、敵を倒さんとしている。

しかし、魔法はフッと起動を変え見事に下の俺にも命中する。


「「あばばばばばばばばばば!!」」

「あ、ごめんね?」


ごめんねじゃねぇよぉぉおおお!

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