第19話 悪魔再び
翌朝、俺たちはぱぱっと支度を済ませ、ギルドのお姉さんに合いに来ていた。
「手狭になったから、広い家に引っ越したいと。なるほど、良い依頼がさっき届けられましたよ!」
ニコッと営業スマイルをするお姉さんに見とれていると、紙が手渡される。
なになに....、森の中で大きな爆発音があり、怯えた害獣がこの街から少し外れた農業区画に出没するようにたったと。報酬は、後継人のいなくなった畑と家か....。
「そこでは昨晩、ゴリラなんてものも現れたそうですよ?迷惑な人もいたもんですね」
「えっ、そそそそうなんですね」
ちょっと待って欲しい。爆発もゴリラも覚えがあるんだが。
後ろを振り返ると気まずそうに、3人が知らん顔していた。
「おいお前ら、どうする?これマッチポンプってやつじゃないか?」
「確かに気が引けるけど、ここでやめたら怪しまれない?」
「確かに、ゴリラのことも心配でしたしちょうどいいのでは?」
「私はあまり行きたくないわね」
うーん。どうするか。今の俺たちじゃぶっちゃけ戦っても、勝てないかもしれないから怖いんだよな。となると....
「お姉さん、そのクエスト期限はありますか?」
「とりあえず明後日までにはとの事ですが。」
「お姉さん、キープするのでよろしくお願いします」
「分かりました。頑張ってくださいね」
「とりあえず、そこそこお金が手に入ったんだ、装備とか整えるぞ。」
「確かに、最近はこの杖も私に合わなくなってきたしね」
「この機に防具をちゃんと買ってもいいですね」
「私は...どうしようかしら」
「俺は、新たなスキルを習得しようと思う。ぶっちゃけ、俺が武器強くしても一緒だし。」
やはり、強敵相手に俺はなんも出来なかったしなぁ。ここいらでいやらしいスキルでも欲しいもんだ。
「よしみんな、今日は自由行動な。各自夜になってら報告で」
「「「ラジャー」」」
俺は、いつの日か弄ばれた師匠のところまで来ていた。
なんだかんだあの人ベテランらしいし、頼りにはなるよな。
「うぃーす師匠、スキルくださーい」
「本当は、スキルなんてポンポン教えないんだよ?」
「まぁ、対価でしょ。いいですよ、遊んでください」
「お、おう。君何かあった?」
「少し大冒険に。」
物珍しそうに俺を眺める師匠。正直怖い。
「じゃあそうだね。これなんてどう?」
俺から少し離れスキルを発動する。
「『投擲』」
投げられた石が、俺のおでこに命中する。
「いってぇ....確かに良さげですけど、酷くないすか?!危うく学生の頃の辛い記憶が出ちゃうところでしたよ!」
「ごめんごめん。でもこれで覚えられるはずだよ」
カードを見ると、既に習得の欄が出ていた。他にもあいつらが使っていたスキルをは、習得出来ないが書かれていた。
「今の君に教えるのはこんなもんだね。」
「俺まだ習得したいんですけど」
「まだ君レベル低いでしょ。見せてみて、やっぱりまだ10じゃん。これじゃあまだ、教えられるのは少ないよ。」
「レベル制限ってやつか。なるほど」
どうやら、ゲームと結構似た部分があるらしい。
「ということで、教えられることは無いよ。だから他のスキル覚えていきな」
「他のスキル?盗賊以外に?」
「今から教えるのは魔法だね。まぁ、見てれば分かるよ。」
「魔法かー、ダークネス以来だな」
「じゃあいくよ。あ!」
大きな声を上げて、遠くに指を指す。
何だこの人いきなり大声出して。
「へへーん」
師匠が得意げに握りしめてるものは、俺の財布だった。
「君、対価が必要って言ったよね。今回はこれで許したあげる。」
「あ、てめ。そこそこ入ってんだぞそれ。返せよ」
「じゃあね『スモッグ』」
師匠が手をかざした所に、もくもくと煙が立ち上がる。
くそ、息苦しいし前は見えないし財布は取られるし、最悪じゃんか!
「これはね、炎のついてるものを持つと煙幕に、毒のやつを持つと毒のきりになったり、属性を付与しやすいから応用してね!」
毎度毎度いいスキル教えやがってくそったれ!
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