第18話 カスになった夜

「あいつ、街で悪さとかしてないよな」


無事に、街まで帰ってきた俺たちはギルドへと向かっていた。が、あの剣のことが心配でならなかった。


「さぁ、きっとナンパでもしてるんじゃないの?」

「アホそうだったからなぁ」

「でも惜しかったかもですね。あんな業物なかなかないですし」

「一日中セクハラされて、多分私折るわよ。あれ」

「私も私も」

「さすがに剣も、人を選ぶと思うぞ?」


冒険帰りなのに、元気いっぱいなこいつらを相手しながら、少し不安に思う。


「そういえば、ゴリラはどうなったんだろうな」

「そこそこのダメージを与えたから、どこかで隠れてるんじゃないかしら?」

「どちらにせよ、報告した方がいいですよね。」


確かにゴリラは逃したが、キメラを倒すことが出来たし、今日の報酬はきっといいだろう。


「あーーーー!あいつにお菓子取られたままだわ!」

「そんなもん今日の金で買えよ.....」


今すぐ逆襲に行くわと、今にも走り出しそうなセリナの頭をつかみ、ギルドへ向かう。




「そうですか....報告しておきますね。強敵との連戦、お疲れ様でした」


俺たちは、遺跡のことを伏せ報告をした。

決して、お宝を狙ってるとか、つよつよな武器が欲しいわけじゃないよ?ほんとだよ?


「こちらは、クエストの報酬と討伐料です。合わせて30万リンあります。」



*説明しよう!最近、おでんの牛すじが恋しくなった女神よ。この世界の通貨は、基本的に日本と同じよ。強いて言うなら、呼び方が少し違うくらいよ。



なにやら、宿敵の気配がしたが気の所為だろう。

というか、いつもより遥かに報酬が高いね。たまには強敵と戦うのもいいかもしれんね。嫌だけど。


「よし、1人7.5万円だな。けどこれでいいのか?」


今回は、俺も失敗したがこれでいいのか...?基本的に戦闘は、セリナがちょっかいを入れ、グレアが男探しにうろちょろし、ティアは....あいつはまともか?けど、司令塔は俺だった、つまり俺がリーダーなわけで多く貰ってもいいよな?

......こっそりと分け前を変更する。


「ほらよみんな、これが分け前だ」

「やったー、早速ご飯よ!」

「何を買いましょうか。」

「ありがとうね。」


こいつら、お金を貰う時の嬉しそうな顔はなか中だよなぁ。いきなり罪悪感が湧いてきたが、後戻りはできないしいいよな?


「今日は豪勢にいこうぜ!肉だ肉!」

「いいわね!今日は朝まで飲むわよ!」

「私もー」

「あ、ティアはやめて欲しいなー。なんて」

「私もダラダラ飲んでるわね。」


いつも通り、ウキウキとしながらご飯を注文していると、職員が走ってくる。


「空さん、おめでとうございます!追加報酬の10万リンです。合わせて40万リンですね!おめでとうございます。」


「「「あれー?」」」


やばい、多分魔物と会った時以上に冷や汗かいてる。そして仲間からの視線が背中に超刺さってるよ!貫通してるって!


「ちょっとぉーカス谷さん?お話があるんですけど」

「ゲス谷くんは、1度私たちの大切さを知るいいわね」

「金谷さん、信じてたんですけどね」

「いやぁ、僕ちょっと計算苦手でね?勘弁しよ?」


それからしばらく、蔑称で呼ばれることになったのは、言うまでもない。




「今日もいい1日だったわね!美味しかったわ!」

「お前ほんと食べてる時、イキイキとしてるのな」

「当たり前でしょう?ちなみに料理もできるわよ」

「嘘つけよ」


こいつに生活力があるとか嘘だろ?


「その話は本当ですよ、私も以前食べさせてもらいましたから。タマゴカケゴハン?っていう珍しい料理だそうです。」

「あれお手軽で簡単なのよねぇ。あなたみたいな、黒髪黒目の人に教えてもらったんだけど。」


卵かけご飯って、それ料理って言っていいのかよ。てか黒髪黒目っていったか?俺以外に転生者がいるのか....。


「とても大きな剣を持ってたわね」

「確かにたまに聞くわね、そんな特徴の人。だいたい敏腕らしいけど、あなたは偽物みたいね」

「おい、やめろよ偽物とか本物とか、人は1部分だけで見ちゃ行けないんだぞ?」


ていうか腹たってきたんだが。俺がチートさえ貰っていれば、こんなに苦労する必要はなかったんだろ?羨ましすぎるだろ!


「しかも、その人イケメンよ」

「勝てねぇわ」


イケメンに勝てるステータスなんかあんの?いいや、俺はお金持ち以外ないと思うね。でもなぁ、俺弱いしなぁ。


「でも、いい所もあるかもしれませんよ?例えばほら、私たちが失敗したらなんだかんだ助けてくれるとか。」

「それは出来ればやめたいんだけどな。」

「あなたがあと、数千万持ってればいい男になるかもね」

「確かに養ってくれたら付き合ってあげるわよ!」


切ない現実を突きつけるのはやめろ!

女性陣からの滅多打ちに泣きそうな俺は、心が壊れそうになる。


「俺にも人を選ぶ権利はあるんだぞ?」

「それって遠慮してるのー?まだまだガキね」

「そうそう、だから食べかすくらいはつけずに食えよ」


リスみたいに頬張り、口に着いている食べかすを急いで拭き取るセリナ。

こいつらにもう少し、琴線に触れるところがあればなぁ。





フラフラになるまで飲み食いした俺達は、家に着いて就寝しようとしていた。


「この家もだいぶ狭くなったわね」

「それな。俺もそろそろ1人の部屋が欲しい」

「これじゃあ息が詰まるわよ。新しい家に引っ越しましょうよ」

「寝相のせいで毎朝、ぐじゃぐじゃですもんね」

「主にセリナな。」


でも、お金ないしなぁ。


「明日ギルドのお姉さんに、紹介して貰えるよう言いに行かない?私豪邸住みたい」

「豪邸とは言わないまでも、庭があるといいね。」

「私花壇が欲しい!」

「私は、化粧道具ね」


でもお金ないしなぁ。

いつか、無双してお金持ちになると決心する空であった。



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