第16話 ボス戦
「ど、どうする?行けそうか?」
「キメラって揃って強敵よ?私たちの手に負えるとは思えないんだけど。」
「ですねぇ、多分ゴリラより強いですしね。」
「逃げましょ!死んじゃうって!」
でも、相手はそんなに待ってくれないようで、その巨体を軽々と持ち上げ飛びかかってくる。
「無理だ、みんな。とりあえずティアは前衛を頼む!」
「無理ですって、ボコボコにされます!」
「いいから頼む」
襲いかかってくるキメラを、ティアが止めるが、パッと見でも力負けしてることが分かる。
「グレア、援護を!」
「ええ、『パワー』」
全身に力がみなぎるが、ティアが押し負けていることには変わりがない。
「無理か?なら次はセリナだ!いつもの頼む。」
「任されたわ、『ボムⅡ』」
しかし効果がうすく、辛そうに呻くが効果的な印象は受けない。攻撃されたこと怒ったのか、キメラはティアを吹き飛ばし、グレアに迫る。
「逃げろ!『ダークネス』」
しかし、レベル差とでも言うのか、まったく効かない。力は自信が無いんだが。
俺は、横から蹴りを食らわせるが効果が薄く、何とかグレアが逃げるも俺の上にキメラは乗っていた。
『gyaoooooooooo!!!』
「ちょ、助けて!さっきのは謝るから。ほら干し肉だよー!」
もうダメだ!スキルもアイテムも何かないのか!
俺の中で走馬灯が走る。それは異世界に来てからの出来事だった。
「おいセリナ!頼むからしつこく値切ろうとしないでくれ!苦情が来てんだ」
「なんで魔物に人魔法浴びせないと気が済まないんだお前は!」
「酒飲んで暴れないでくれよ....賠償金の請求が来てんだよ。」
グレアとは日が浅いし、召喚されてからも日が浅いけど、なんだかんだで充実した人生だったなぁ。日本にいた頃は、特に恋愛することも無く、このまま寂しく生きるのかなぁ、なんて思って過ごしてたなぁ。ん?待てよ?ティアが酒を飲んだ時って決まって何でもへし折ってたよな。入口の荷物中には、確かに薄めて飲む酒の丸薬が.......。
「ま.....だ.....終わってねぇ!セリナカバンの中に酒の玉があったろ!後はわかるな?」
「あ、そういう事ね。わかったわ!」
でも、間に合うか?
必死に抑えるが、奮闘虚しく力負けしてしまう。
「いだあああああああああ、早くー、セリナ様ー!」
ちょ、本気で痛い。無理無理。
危うく意識が飛びそうになるも、痛みで何度も無理やり起こされる。
「くそったれ!これでも喰らえ!」
剣を目に突き刺す。キメラが呻くが、離してくれそうにない。
「待たせたわね!ティア、これを食べて!」
「酒臭いですけどこれ、なんなんですか?」
「いいから」
引き離そうと必死のテイアに、無理やりねじ込む。すると、すぐに顔を真っ赤にし酔いがまわる。
「うぃーーーヒック」
これでどうだ?
「さっきからよォ、うちのリーダーをよォ、良くもがぶがぶしてくれたな?」
ティアは、剣で腹の当たりを剣で切り裂く。
ティアの方が危険だと判断したのか、噛むのをやめてティアから距離を取る」
『grrrrrrrrr』
先程の俺たちへの対応は、遊んでいたのだろう。毛を逆立たせ、じっと睨みつける。その対峙を破ったのは決めただった。高温の炎をティアに吐きつける。
「臭いですよ、はくらいみがいてくらさい」
しかし、そんなものものともせずに近づく。
こいつ、主人公か?俺なんかよりよっぽど覚醒してんじゃん。
「おらおらぁ!ティア様が食べてやるよ!」
キメラの目の前まで来ると、襲いかかってくるキメラを受け止め、それを両手で投げる。そして怯んだ隙に剣を突き刺す。そしていつの日か見たマウントの体制に入る。
「これか、これがいいかオラ!さっきはよくもやってくれたなぁ!」
ヒェ、顔が血まみれになってんじゃん。返り血も凄まじいし。
数分後、キメラが動かなくなったことに満足したのか、眠りにつく。
「「「おぇぇえええええ」」」
そのキメラの惨い姿に、俺たちは嘔吐してしまう。
「あいつ本当に、人殺してないのか?」
「た、多分ね」
「あの子、愛くるしい見た目してなんでやつなのかしら」
「この作戦は、これからはしないようにしよう。」
俺たちは目を見合せ、頷き会う。
「じゃあ、倒したところで奥に行きましょ」
「お、そうだった。お楽しみのお宝タイムだ!」
「キメラなんて住み着いているところだから、いいものがありそうね」
「おい待てよ、お前なんかしたか?」
グレアが、気まずそうに目をそらす。
こいつ、確か逃げたところまではいいがコケて気絶してたよな。
「や、やったわよ?応援とか」
「気絶してて、それもしてないじゃねぇか。張り倒すぞ」
「まあまぁ、いいじゃないの。道中は活躍したのよね?したんだよね?」
「お前、デカいしドジっ子だし行き遅れてるとか、属性つきすぎだろ。」
「それには文句があるけど、少しはちょうだいね?」
「しょうがねぇな」
よくよく考えたら、俺も足引っ張ったんだった。あんまり言うと、俺にも飛び火しそうだからやめよう。
「じゃあ、私が一番乗りね!」
セリナがダッシュで扉まで駆け寄る。
ていうか、ここの遺跡ほんとにゲームっぽかったよなぁ。
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