第13話 落とし穴
「ちょ見つけたわよくそザル!捕まえてサーカスに売り払ってやるわ!」
目を血走らせながら、セリナがゴリラに猛ダッシュする。
この絵面まずいだろ、女子がしちゃ行けない顔だろ。
『うほぉっ?!』
ほらぁ、ゴリラもなんか逃げちゃったじゃん。
「ちょっと待て!固まって動かないと!」
「待てやああああああああああ」
「しょうがない、2人とも、振り切られないようにしっかり走ってくれよ。」
「は、はい!」
「ちょ、お姉さんにはしんどいんだけど。私力ないのよ。」
「何言ってんだ!運んでやるからまってろ。よし、ティアは足側な俺は頭の方やるから。」
「ガッテンです。」
「え?背負ってくれるんじゃ....いやよ!こんなの物みたいじゃない!」
「贅沢言うな、後でお菓子でも買ってやるから。」
我ながら、タンスを運ぶみたいに持ってるから申し訳ないが、これ楽だわ。
数分走っていると、セリナとゴリラが対峙しており、セリナは避けることしかできていなかった。
「ちょ、卑怯よ!こっちは全員揃ってないのよ!まって、殴りかからないで!」
さっきのゴリラは、よっぽど追いかけられたことが悔しかったのか、血気盛んに襲っていた。
「ちょ、空達じゃない!早く助けてよ!」
「もうちょっと頼む」
セリナには悪いが、観察させてもらおう。見た感じ紫の毛並みに筋肉量が多く、足はあまり早くないが腕がとにかく大きい。
足はそこまで強そうじゃないから、小さな落とし穴でこかせられそうだな。後は、決め手だが。
「ティアは、なんかスキルないのか?」
「私は『スラッシュ』と、1発だけですが『チャージ』が使えます。」
*説明するわ、女神よ!この2つのスキルは、一撃 の斬撃を強化するスキルなんだけど、チャージは特殊で、発動したら一定時間貯めたあと、スラッシュの3倍のダメージを与えることが出来るわ!最近、ドロドロの昼ドラに手を出した女神ちゃんでした!
「じゃあ、いつものように罠で隙を作るから、適当に怒らせてくれ。」
「頑張ります!」
「私は何をすればいいかしら?」
「お前は、補助呪文をかけた後周囲の警戒をしてくれ。」
「それはいいけど戦えないわよ?」
「僧侶なんだろ?攻撃の方もできるって聞いたぞ」
「実はね、私は何故か攻撃が初期値のままなの。なんか上がんないのよね」
「初期値って、補正なしかよ......。風にも飛ばされるんじゃないだろうな。」
「たまにコケるわね」
「コケちゃうのかよ!.....呪文をかけたら隠れててくれ。」
確かに、頭が弱いだけかと思ってたが、落とし穴あったか。これじゃあスクロールと変わらなくね?
「じゃあ、行くか。」
「では、突撃します!」
「2人とも頑張ってきてね。〖プロテクション〗〖パワード〗」
俺は早速罠をぺたぺたと作っていると、悲痛な叫びが聞こえてくる。
「やっと助けに来てくれたのね、ありがとう!本当にありがとう!」
「いいからティアと変われ!ったく、走り出しやがって」
今にもコケそうな姿勢で走ってくる。
あ、お前。
「ちょ......。」
俺の作成中の罠にかかり、コケる。
「うわあああああん、私をみんながいじめるぅぅぅぅ。」
「お前だって、何度も俺のスキル見てるだろ!いい加減覚えてくれ!」
「だってだって!」
「いいから呪文を唱えててくれ、頼むから、ほら鼻チーんってして。」
「ぐすっ、分かったわよ....。」
後はティアだが。どうやらヤバそうだ。
「ぐっ、まだまだァ!」
見れば、いつものように力で制しておらず、完璧におもちゃのように遊ばれていた。
「やっぱり相手が悪すぎたか、準備できたからこっちまで来れるか?来れないよな、掴まれてるもんな。」
「ちょ、離して!」
ティアも、剣を突き立てるが小さな切り傷が出来るだけで、硬い皮を貫通できない。
「くそ、高いんだがな。〖アイスボール〗」
俺は、あの時買ったスクロールの最後の1枚である、氷の玉を飛ばす魔術を使い、顔面に直撃する。
すると、意表をつかれたかのように少し怯む。
「さぁ早く回ってこい!」
「ハァハァ....連れ去られるかと思いましたよ。」
「じゃあ、さっき話したとおりに、よろしくな。」
「いいわ!ありったけぶち込んでやるわ!」
逆襲できるのがそんなに嬉しいのか、さっきの機嫌がうそのように晴れ、打てるのを今か今かとまっている。
そして、ゴリラは顔に着いた氷がやっと剥がれたのか、こちらをじっと見つめ走ってくる。
「いいぞ......今だ!」
ゴリラの、膝までか入る罠にハマり体制が崩れる。
「いくわよ!〖ボムⅡ〗!!!!!」
とても魔力を込めたのか、爆発の規模が大きすぎる。
「お前、なんてこ.....」
爆発の衝撃により、周りの地盤が崩れ空間の中に落ちる。
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