第10話 遠出

「ねぇ、私達もそろそろ遠くに行きたくない?」


俺は、なぜ止めなかったんだろう。


「いいですね、それ!」


今でも後悔している。


「じゃあ準備するか!」


今なら、このノリノリな俺を殴れる。

事件の始まりは、クエスト選びからだった。




「遠くに行くって決めたんだから、どうせなら旅行みたいなクエストがいいわね!」

「でもどれにします?そんな都合のいいものは....」

「お、これなんかどうだ?旅行とは言わないまでも、少し遠くの川辺の生態調査だとよ。」

「うーん、まあまあだけどいいわね。次までには、ちゃんとデートのセンス磨いとくのよ?」

「大丈夫、お前とはそういうことにはならないから」

「なんですってぇー?!」


取っ組み合いの喧嘩をしそうになっていると、ティアが慌てて止めに入る。


「ま、まぁ。楽しそうですよ?見た感じ散歩するだけって感じですし。」

「そうだといいんだがなぁ」


まぁ、遠出だしいつもより多く準備しとくか。




「よし、戦闘の道具に、携帯食に、替えの着替えに.....こんなもんかな」


どうしよう、不安もあるのだがめちゃくちゃ楽しみだ。しかし、遠出なんかして大丈夫だろうか.....行きたくねぇ。


「さぁ準備できた?行くわよ?」


まぁ、なんとかなるよな?今まで大丈夫だったし。






「お前ってやつわああああ!お前ってやつわあああああ!」

「だってぇ!だってぇ!」

「いいから走ってください!」


穏やかな陽気に油断していた俺は、セリナの手綱を握ることを忘れていた。


「お前、なんで群れの中に攻撃打っちゃうんだよ!しかもブルブル!」

「この前の仕返しがしたかったんだもの!許してよ!」

「くそ、ティア!少し時間をかせげるか?」

「は、はい!」


俺は、ティアが暴れている隙に、少し離れた位置に罠を設置していた。


「『罠作成』.......よし、セリナ魔法を待機しててくれ!」

「任されたわ!特大のお見舞するわよ!」


こいつも、少しは賢くなったらしい。待つことを覚えている。鉄砲玉から犬へ進化したなこいつも。


「よし、ティア走ってこい!」

「は、はい!」

「・・・よし、そこでジャンプだ!」

「え?あっ、はい!」


ティアが飛び越えるが、ブルブルたちは落とし穴に次々と落ちていき、底の泥沼にハマっていく。


「よし、ちゃんと出来たな。次頼んだ」

「任されたわ!行くわよ!『ボムⅡ』」


強化された魔法をくらい、ブルブルたちは穴の中で吹き飛び、バラバラになる。


「ふふん!私だってやれば出来るのよ!」

「驚いたよ、これからは半人前として扱ってやる。」

「えぇ!じゃあ今までなんだったのよ!」

「うーんスネかじり?」


セリナが、『え?嘘、まじありえなーい』みたいな驚きで目を丸くする。


「ティア?あなたは違うわよね?」

「 ・・・・」

「思ってるってよ」

「なによー!」


まぁ、でも成長してるんだよな?ナメクジぐらいの速さだけど。


「あともうちょっと後先考えれたらなー。」

「私だって考えるわよ?例えば、あんたがキョロキョロしながら店の前をウロウロしてたら、呼ばずに見て見ぬふりするとかね。」

「いやほんとすみませんでした。」

「なんです?そのお店って。」

「それはね、アダ「ちょっとこちらで話をしようかー」


俺は、少しは考えを改めた方がいいのかもしれない。

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