第8話 クビ

約束の時間に集合した俺たちは、作物を荒らす害獣討伐クエストに、例の森に来ていた。


「来ちまったよ、死にかけたのに。」


みんなには、驚かせようと思って話してないが、今回は訳が違う。俺はスキルを覚えたんだ!


「よし2人とも、敵がいたらすぐ教えろよ?」

「は、はい!」

「まかして!」


今回の布陣はこうだ。前にティアを配置し、後ろからセリナが魔法を打ち、俺が2人のフォローをする構えだ。

これさえ崩されなければ、大丈夫だよな?


「そういえば倒すモンスターって、何かしら?」

「お前説明受けただろ。イノシシ型モンスターブルブルの討伐だ。」


何とも頭の悪い名前だこと。


「ブルブルですか.....」

「まぁそんな緊張しないで、俺がカバーするから。」

「あ!この人ここぞとばかりにこの状況を利用しようとしてるわ!」

「そんなんじゃねぇよ!誤解生むからやめろな?」

「あの.....まだ会ったばっかりですし.....」

「いやいや嘘だからね?!」

「でも、なんでこの子にはして、美しい私にしなかったのかしら」


こいつはそろそろ、自覚した方がいいと思う。


「行き遅れるぞ?お前」

「それってどういう意味よ!」


取っ組み合いの喧嘩をしていると、その声に反応したらしく、こちらの近づいてくる音がする。


「お前たち気おつけろ、何かいるぞ!」

「ちょ、話はまだ終わってないわよ。」

「後でしっかり泣かしてやるから、2人とも配置に着いてくれ!」

「頑張ります....!」

「仕方ないわね。ギタギタにしてやるわ!」


その獲物を待っていると、俺たちの胸ほどの大きさのイノシシが現れる。


「え、大きくないか?!想像したのと違うんだが!」

「そんなことより、先手必勝よ!これで灰になれええええ〖ファイアⅠ〗」


あ、またこいつ前に!

しかし、そんな特攻にブルブルは、魔法が打たれてもお構い無しとばかりに、腹めがけて突撃する。セリナが吹っ飛ばされ目を回す。


「お前はなんでいつも使えないんだ!」


仕方ない、俺の出番だな。てか、あいつは鼻から戦力として考えない方がいいな。


「ティア、隙を作るからトドメは任せた!」

「ふえ....ふえ.....敵が!」

「ちょ、どうした!落ち着けって」


こいつ、敵を立ち止まってやがる。しかも剣ぶんぶん振り回してて危ねぇし。


「来ないでぇぇぇぇ!」


どうやら手伝ってくれるようで、半ばバーカーサーのように突撃する。


〖brrrrrrrrrrr!!〗


ティアが全力で駆け出すと同時に、ブルブルが、セリナの時のように突撃を仕掛ける。しかし走り出した瞬間、


「〖ダークネス〗今だティア!」

「ああああああああああああああ!」


ダークネスで視界を防がれたことに気をとられ、一瞬動きが固まる。その一瞬が仇となり、頭にブスリと剣を刺され、横腹を蹴飛ばされティアが上に乗って殴る形となる。


「倒れてくださいお願いしますお願いします!」

「こいつ、見た目の割に残酷すぎないか」


そのグロい光景に、トラウマがひとつでき上がる。


「ふぅ....やっと終わりました!」

「お疲れさん」

「あれ?なんでそんなに離れてるんですか?」

「ヒィ!」

「あ、私魔物さんたちは怖いから突撃しちゃうんです。だから、さすがに空さんにはしませんよ?ほんとですよ?」


こいつもか.....、まだ普通の時は常識人だからマシか?しかし、こいつ最後の方素手で頭殴って潰してたし、案外強いのかもしれない。


「あら?終わったのかしら」

「おはよう、お前が寝てる間にこの通りな」

「余裕だったみたいね、さあ次行きましょ」


こいつのメンタルは、見習うべきところがあるかもしれない。




「いいか、敵の巣なんだ。セリナは爆弾魔法を待機、ティアは俺たちの前に立っててくれ。」

「うう....怖いよぉ.....」

「この世の中にはな、締切や予定っていう怖いものもあるから、あいつらなんてなんてことないよ」

「もしかしてひねくれてます?」


純真な眼差しに心を痛めていると、セリナがまだかと急かしてくる。


「早く打ちたいんだけど」

「ちょっと待てよ、合図を送るからその時に打つんだぞいいか?」

「それはフリかしら?」

「殺す気か?」


少し背中をビクビクしながら、洞窟の前までこっそり近づと、教えてもらったスキルを使い落とし穴を掘る。


「〖罠作成〗..............こんなもんでいいよな」


俺は少し離れ、手を挙げて合図を送ると爆音が鳴り響き、洞窟の奥から複数の足音が聞こえてくる。洞窟の中からブルブル達が殺到してくるが、次々と穴の中へ落ちていく。


「ちょ、何そのスキル!チートじゃないの!」


セリナがブイブイ言ってくるが放っておこう。


「どれどれ....7匹か、これで全部かな?」


案外こいつらは集団でいるし、知能が高いのかもしれない。


「ちょ、空さーん!なんか1匹流れてきてるんですけど?!」


俺は隠れて様子を見ていたから、そりゃ向こう行くか。


「いつもの奴で倒してくれ!2人ともよろしく!」

「いや、結構力強いです!さっきのをはやく!」

「待ってくれ、こいつら穴から出てきそうだから先にしとめてから行く!」

「なる早でお願い!」


さて、ここは奥の手だな。

俺は胸元から、スクロールを取り出す。


「いくぞ!『ファイアⅡ』」

「ちょ?!私の専売特許奪った!しかも2よ2!ねぇ!返してよ!」


スクロールの魔法を受け、次々とばたりと力なく倒れ行く。

セリナのよりよっぽど強いんじゃないか?これ。しかも魔力使わないし。


「こ、こっちは終わったわ」

「終わりました.....。」


見るとティアの鎧が少し焦げている。


「お前まさか!」

「だって暴れてて当たらなそうだったし」

「いいんです、倒せたんでしたから」

「そういう問題じゃ」

「そうよね!結果良ければなんとやらよね!」

「お前の今日の結果は、不合格な」

「ちょ、謝るからあぁああああ!!」

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