第3話 クエストへ
「いい?最近はこの街も賑やかだから、私の傍から離れるんじゃないわよ?」
平原をぬけ、街に入るとそこは、レンガを基調とした街並みが拡がっており、商人やら武装した人達で賑わっていた。
「あなたにはこれから、私のパーティになるために、冒険者登録して欲しいのよ。」
たしか初心者の街って女神が言ってたし、そういうのが盛んなんだろうか。
「だから今から行くのがあそこ。」
指を指した方向には、酒場のような佇まいの、周りより2回りほど大きい建物だった。
「あそこはギルドって言って、あそこで冒険者登録ができる、私たちの拠点みたいなもんよ。」
へぇー、思ったより綺麗だな、荒くれ者が多そうだとは思ったんだけど、そんなことは無いのか?
「じゃあ入るけど、お行儀良くしてるのよ?」
「はいはい」
「本当にしてるのよ?」
中に入ると、各々が報酬に嬉々としたり、作戦会議したり等、活気で充ちていた。
「すいませーん、この子に冒険者登録できますか?」
「はいはい登録ですね。」
セリナが、丁寧に受付のお姉さんに話しかける。
「では、この用紙に名前と歳と.....こちらに指を押し付けて貰えますか?はいはいそうです。」
「意外と簡単なんだな」
指示されるがままに手続きを済ませ、お姉さんは紙を受け取ると、奥にある水晶にかざして、なにか紙を錬成?していた。
「はい、これがあなたの冒険者カードですよ」
「あ、どうも」
「もしかしたら冴えないあんたに、物凄い才能があったりしてね」
「才能?ステータスかな?あと一言余計だぞ。」
どうしようかなー、これでとんでもなかったら。大騒ぎになっちゃうなー。
天谷空 Lv1 ジョブ 平民
力 13
物理防御 9
魔法 11
魔法防御 10
速さ 9
スキル 夜行性
技 未習得
これは高いのか?
「驚くほど普通ね、いやバランスがいいから器用.......いや器用貧乏ね。夜行性って何かしら」
「・・・・」
召喚物ってさ、スキルの部分にとんでもないものがあったり、初めから高ステータスだったりしてさ、登録する時とかに、『なんて人なの!?』くらいあるじゃん。でも器用貧乏らしいですよ奥さん。しかも夜行性って何、俺は犬か。
「ま、まあ。レベルを上げた時に、他の人よりたくさん伸びるかもしれないですし、まだ諦める時ではありませんよ!」
「ぐぬぬ、これで俺の実力が、決まったわけじゃないし!」
お姉さんの言葉が胸に染みる。
「ステータスなんてきっとかざりよ!クエスト行きましょクエスト!」
「そうだよな!飾りだよな!気を取り直してクエストだ!」
「・・・この子を誘ったのは失敗だったかしら」
「おい、人を失敗だとか言うんじゃない。心臓がキュッとなるだろ」
「さぁーて、どんなクエストがあるかしらね」
「聞けよ!」
まぁ、怒っても変わらないよな。我慢だ我慢、あなたは勇者となる者なのよ、心頭滅却よ。
心を落ち着かせていると、張り紙を持ってセリナが近づいてくる。
「ねぇねぇ!」
「はいはい」
「クエストはこれにしましょうよ!」
「どれどれ、デスタイラントの捕獲.....却下だ」
「なんでー?沢山稼げるわよ。」
「俺は、そんなイカついやつと戦ったら、指先ひとつでダウンされそうだよ。レベル1だよ?採集とかないの?」
「確かにそうよね、ちょっと探してくるわ。」
大丈夫なんだろうな?次は魔王とか持ってこないよな?
「これなんてどうかしら!キノコを1キロ取るだけでこんなに貰えるのよ!」
「キノコを取るだけか、いざとなったら戦わず逃げたらいいし、これにするか。」
「そうと決まったら軽く準備をしてダッシュで行くわよ!」
ウキウキさせるその背中に、一抹の不安を感じる空であった。
また爆破されないよな?
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