第68話 ゴリラでも出来る

夜ご飯のメニューを考えてみるがなかなか決まらない。と言うのも誠二さんにその足で包丁は使うなと言われたからだ。

包丁を使わずに出来る料理を考えてみるがなかなか思い付かない。


結局夏帆を待つという結論を出した俺は、時間を潰すためにリビングのテレビを付ける。するとやっていたのは丁度料理番組だった。


『ゴリラでも出来る!15分クッキング!』


タイトルに思うところはあるが、それは心の中に留めておく。作るメニューはパスタのようだ。ゴリラって火が使えるところまで進化したのか……。


見てみると包丁要らずのパスタだった。まぁメニュー名が具なしペペロンチーノだから当たり前と言えば当たり前だ。


早速俺は具なしペペロンチーノを作り始めた。


料理が完成した頃、丁度夏帆がシャワーから出てきた。夏帆は台所を覗きに来たのか俺の横に立った。


横に立った瞬間、フワッと柑橘系の甘くてさっぱりした匂いが鼻腔をくすぐる。頬は風呂上がりのためほんのりと紅潮しており、タオルで髪を拭く様子に女子を強く意識してしまう。


俺は食事中、雑念を振り払うのに必死だった。

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