第62話 お邪魔
「菜月!ヤバいって!誰か帰ってきたから早く起きろって!」
「やだ」
「おいっ!」
俺はベットの脇に立ち、菜月を起こそうとする。しかし菜月は起きる気はないようで毛布の中に閉じ籠り、全力で抵抗してくる。顔だけ出したと思えば「シャーッ」と威嚇までしてくる始末だ。
そして音の主は階段を登ってきた。
さすがにこの光景を見せるわけにはいかないがこの部屋には鍵が無い。つまり俺に残された方法は菜月をどかせるしかないのだ。
俺は毛布を掴み思いっきり引っ張る。さっきまでは菜月が強く掴んで離さなかったのだが、今は離していたようで俺はバランスを崩した。
その瞬間に菜月は俺の両手を掴んで自分の方へ引っ張った。俺は踏ん張ることなど出来ずにベットに、横になる菜月の目の前に倒れこむ形になってしまった。
「ちょ、おいっ!」
「ふふっ、捕まえた~。私の勝ちだね?」
今まで見たことない蠱惑的な表情で菜月は俺に微笑んだ。今まで妹のような幼馴染みとして、家族として接していたがそれは崩れてしまう。一人の女として意識してしまう。
鼓動が加速する。起き上がろうとするが菜月の腕にガッシリとホールドされているので出来ない。
そして非情にも扉が開けられた。
「晋也ただいま~……えっ!?お母さん邪魔しちゃった!?」
そう、部屋に入ってきたのは誠二さんと新婚旅行に行った筈の母だった。
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