第31話 代償
水曜日の朝はいつもとは違う。
サッカー部の朝練が6時半に集合となかなかに早い。
さすがに夏帆とは登校できないので一人である。
思えば一人での登校なんて転校してから初めてだ。
いつもは夏帆との話しに集中していたので、通ったことのある道ではあるものの初めてに溢れている。
とても新鮮な朝だった。
学校まであと5分くらいの場所でそれは起きた。
本当に突然のことだった。
俺の隣を追い抜いていった自転車が急に転倒したのだ。
乗っていたのはうちの高校の制服を着た少女だった。
自転車は後輪が跳ね上がるようになっていたので、少女は前に飛ばされる。
俺は自転車の後輪が跳ね上がるのと同時にリュックを脱ぎ捨てるように地面に置いて走り出していた。
距離にしておよそ5メートル。
少女は頭から地面に落ちていく。
そして少女の頭が地面にぶつかるコンマ0.1秒前、ギリギリ滑り込んだ俺はなんとか少女を支える。
少女の落下の勢いをなんとか殺すことに成功したものの、俺は無茶な加速でふくらはぎに尋常ではない痛みがはしる。
そのあまりにも強い痛みに耐えきれず、俺の意識は暗転した。
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