第22話 日直日誌

日を跨ぎ翌日。

俺は夏帆と登校していた。

夏帆には自転車で良いと言ったが徒歩である。


「自転車なら5分くらいで着いちゃうじゃん。徒歩なら20分弱かかるけどその間晋也と話せるしね」


とのことだ。

突然なった兄妹ではあるが、上手くやっていけそうで安心だ。

けれど登校中は酷く人目を集めてしまう。

俺は本気でチャリを買うことを検討し始めた。


教室に入り、挨拶してきた人には挨拶を返していく。

四天王差別のことを聞いてから俺の中の女子の株は大暴落だ。

令和恐慌ってやつだな。

席につくと隣の本田さんを見る。

彼女はとても綺麗な姿勢で日直日誌?を書いている。

凄い集中しているようなので挨拶を躊躇う。

5分ほどして本田さんはシャーペンを置いたので挨拶する。


「おはよう、本田さん」


「あぁ、風間くんか。おはよう」


「今書いてたのは?」


「日直日誌だよ。日直の人が書くルールなんだがな、基本的に誰もやらないんだ」


「やっぱり四天王だから?」


「あぁ、知っていたのか。男子も女子に圧力をかけられていてな」


なかなかにこの学年の女子は性格が腐っているようだ。

全員がそうなのか、一部のリーダー格が仕切っているのかは知らないが、差別している時点で同じだ。


「じゃあ本田さん、明日から俺と一日交代にしない?」


「え?でも風間くんがやる必要は……」


「俺は圧力かけられてないしね。まぁかけられても従う気はないけど」


「風間くんも差別されるかもしれないんだぞ」


「なら俺と絡んでくれよ。てことで明日からやるからよろしく」


「まったく君は、本当に……。ありがとう、そしてよろしく頼む」


そう言って彼女は花のような笑顔を浮かべた。

それを見た俺が一瞬で頬を染めてしまうほどには魅力的だったんだ。

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