九月十六日

・サプリメント 不足しがちな栄養を補うための商品。 supplement

・人為 人間の力ですること。 human deed

・端くれ 多くの中のつまらないもの。 lowest member

・委任 他の人にまかせること。 entrust

・かぶりを振る 頭を左右に振って、いやだという気持ちを表す。 shake head

・マネジメント 管理すること。経営すること。 management

・両義 両方の意味。二つの意味。 ambiguity

・執心 ある物事に心を引かれて、それにこだわること。 attachment

・換言 言いかえれば。 in other words

・扇動 気持ちをあおり、行動を起こさせること。 incitement

・一得一失 得な点もあれば損な点もあること。 a gain and a loss

・不分明 はっきりしないさま。 obscure

・峻厳 非常にきびしいこと。 stern

・裃を脱ぐ 堅苦しい態度を捨てて打ち明ける。 at ease


人為的に発生させたであろう雲から雨が降り注ぐ。

降水の時間は凡そ30分であり、一般教養はそこまであるとは言い切れないがこの世の中の常識であるこの事ぐらいは知っている。

・・・遠回りな思考回路だ。


廃れたビルの隙間から右掌を天に向けて差し出すと一滴、二滴と大粒の雨粒がボトリと直撃してくる。

手を引っ込め、ほんの数秒後が経過すると掌に赤いみみず腫れのような発疹が。

ヒリヒリとした痛みも感じられるので、酸性雨だということは容易に理解できる。


酸性雨、環境問題の一つである。

しかし、人為的な降水......人工降水であるのであるにも関わらず、人体に影響が出るレベルであるのでその点を考慮出来ない扇動者ども《政府》は気が狂っているのかと非常に奇妙なところだ。


ただ、そのような言葉で片付けていい問題でもなければ、ある程度の推測は自分にも可能だ。

人工降水自体が政府から公言されたのはほんの数年前であり、世界人口の増加が過去一番盛んになっていた時期とぶつかる。

加えて、その公言の内容も自然環境の保護という部分以外は非常に不分明なもので、国民の判断や対応に全てを委任するようなものであった。

視野を広げ、その時期にあった他の出来事を分析すると異常な程の「傘」の値段と需要の高潮が見られた。


傘というのは、時と場合に応じて武器と成るが、元の用途は当然「雨を防ぐ」だろう。

ただ、その元の用途ではなく、派生としての「武器」との折り合いが出来る強固かつ、にも対応できる商品の需要が上がったのだ。

更に、現状の外郭をしっかり捉えられる要素として、貧困層の暮らす住宅地の付近に多くの工場が立ち並んでいる。

よって、この人工降水には両義性があり、政府がきちんと公言した「自然環境の保護」と、自分の推測の着地点である「人口の意図的な削減」だろう。

どの手法でも大体は一得一失だが、これは「失」が大きすぎるのと政府の執心が伺える。

最終的に政府が言いたかった事として「峻厳な経済状態である社会の端くれの人口を削減したいけど、堂々と言ったら皆かぶりを振るだろうし、察してね」と自分風にアレンジした裃を脱いだ言い方で間違いないだろう。


余談として、何故「化学物質」特化の傘ではないのか?と言った疑問が湧くが、答えは非常に簡単なことである。


思考に耽りつつ、自分の引き締まった太い両腕を凝視する。


単に治安が悪くなっているからだ。

かくいう自分も、需要が上がっている傘を使用して街を歩いているが、追加でサプリメントなどを服用し、自身の筋肉をマネジメントしているのだ。






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