九月十四日

・御足労 来てもらうことの敬語。 coming

・情操 高度に発達した感情。 good sentiments

・疑心暗鬼 なんでもないことまで信じられなくなること。 persistent suspicion

・寸鉄人を刺す 短い言葉で人をつく。 make a cutting remark

・闊歩 威張って歩くこと。思うままに行動すること。 stalk

・功を奏する 効果が現れる。奏功する。 succeed

・一日千秋 一日が千年のように思われるほど待ち遠しいこと。 eternal waiting

・攪拌 かきまぜること。 stir

・純一 まじりけがないこと。 pure

・崇敬 あがめうやまうこと。 veneration

・払暁 夜明け。 dawn

・分水嶺 物語が決まる分かれ目。 watershed

・アノニム 匿名。作者不明。 anonym

・瀬踏み 前もって試す。 have a try


アノニムの日記だ。


今の時刻は払暁の4時である。

一日千秋の思いで待った明日が遂にやってきた。

昨日の23時に就寝したはずだが、夢の中でも情操に襲われたような記憶があることから考えると、気持ちが昂って起きてしまったのだろう。


何故なら、今日は自分の通う高校の自クラスの瓦解か再生かの分水嶺であるからだ。


そもそも、「瓦解か再生」という単語が頭に浮かんだのは自クラスの抱える「グループの固定四極化」という問題の中、性的な事件があったらしく、男子グループ(陰and陽キャラ)と女子グループ(陰and陽キャラ)の四つが個々で暴れて、クラス内が戦場と化している。


俺がトリガーになったくっだらねぇ問題だが。


そもそも、四極化の中で絶対的な中立(もうそれ四極+αじゃないか)を保っている俺が、たかだか四グループからクラスに対してのそれぞれの思うことを洗いざらい聞き出して、流失させるだけでこの状況とは辟易する。


あれだけ廊下を闊歩していた陽キャ男、陽キャ女グループが、矜持もクソもなく寸鉄人を刺す罵詈雑言を吐き散らし、絶叫と甲高い声の罵倒という汚臭が教室に充満する。


あれだけ人型の受け身形を一貫してきた陰キャ男、陰キャ女グループが純一な感情を発露させ、心に堕としたありっけの知識や欲求で標的を査定し、波に乗っている。

そう、陰キャの真価は荒れ狂う波浪を難なく乗りこなせるサーファーだったのである。


攪拌、故に疑心暗鬼が生ず。


分水嶺の想像もここまでにしておこう。

兎にも角にも、これは将来的に功を奏する為の瀬踏みに過ぎない。

自身が崇敬される為の機会なぞ、そうそう御足労に頂いてくれやしない。

結局のところ、自己のモチベーションをあげる為の革命と反逆を同時に行う幼稚な欲求を解消する舞台に過ぎないのだ。


性的な事件は......あやふやな噂話に確証性という命を吹き込んだ贋作である。


躍れ。


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