九月十二日

・非の打ち所がない 少しの欠点もない。 perfect

・牽引 引っ張ること。 pull

・ローカル 地方の。 local

・散在 あちこちに散らばってあること。 scattered

・日参 毎日同じ場所へ出向くこと。 visit daily

・烏合の衆 まとまりなく、集まった人々。 mob

・機運 時の巡り合わせ。 opportunity

・良否 よいことと、よくないこと。 good or bad

・卒然 いきなりなさま。 sudden

・たおやか 姿や動作がしなやかでやさしいさま。 graceful

・アンチテーゼ 反対の意見。 antithesis

・願うべくは できれば。 if possible

・切歯扼腕 憤り残念がること。 deeply chagrined

・知音 知り合い。 friend


少々、「欲の園」の再構成の練習といいますか、超絶雑なプロトタイプみたいな感じです。


なるべく冷たい目で......




朝川匠汰は純白の汚泥を踏みしめ、括目しながら視野のど真ん中に佇む標的を捕捉する。


黄昏時に、散在するビル群から外れたこの汚染地に日参するが、目的は蛮行。

ただ、正面に死人のような形相の知音を殺すことに我を牽引し、冷たい情熱を注ぎ込むのみ。

だが、毎度毎度絶対に勝てはしない。

というより、殺す殺されるの良否ははなからどうでもいい彼は敢えて勝とうせず、自分の技術に絶対の自信を持って朝川匠汰というサンドバックに過ぎない奴を使った鍛錬の一環としてここに足を運んでいるようだ。


彼曰く「ここはとても平坦で、摩擦もちょうどいいというローカルメリットがある」という理由でこの場所を選択したらしい。


毎回、深い傷が一つか二つ付いて「やめにするか」となるので、俺自身も彼を殺したいが、相当リスキー。

故に心象世界で戦闘を拒否するアンチテーゼが暴れるが、傷つけられる度に切歯扼腕するので、無理矢理挑む。


彼とは「干渉」は使用せず、インベントリに入っている模造刀切れない玩具で戦うのが暗黙の了解。

何故なら、彼の非の打ち所がなく、卓越した超至近レンジ下での戦闘技術を更に磨く為に俺をサンドバックにしているのだから。


―――――卒然として彼の死相に、生が宿る。

―――――俺、呼応するように刀を右掌へ取り出す。


彼はたおやかに、烏合の衆を一掃してきた滑走を行いながら、自分との距離を時々刻々と詰める。


願うべくは、機運かもしれないが片腕を持っていかれないように。


此方も彼に同調するように模造刀を前に突き出し、全身全霊で受けようと試みる。

模造刀の刀先にありったけのJ《ジュール》を乗せたタイミングで彼の模造刀の刃と接触し、無事に相殺。

その後、彼の刃の軌跡が、彼の左脇腹に収束したことから逆算し、自分の右側に刀を切り込むと想定。

即座に刀を彼の左脇腹から少し手前にずらした位置に振り降ろすと、その位置に彼の刃が。

地を砕くイメージを脳裏にチラつかせながら右足を踏み込み、彼の刃を純白の地面へと撃ち落とす。

刀を再度振り上げると同時に、自身の左足を彼の刃に乗せ、一瞬固定。

刃を足場だと認知させ、設定通りの重心操作に移行。

空中で右足を後ろ、左足を前にと交差させ、振り上げた刃を真っ直ぐに、彼の病的に白い鎖骨辺りに降ろすが、足場に違和感を覚える。

瞬間、ふわりと自分の体が宙を舞い、視野が反転、バク転のような形に。

すぐさま体を柔軟に縦回転させるも、


―――――自身が着地した白の地は、真っ赤な水溜りで穢されていた。


ああ、またダメか。


交差する痛みを腹部と胸部に覚えた。










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