九月四日

・足掛け 年月などを教えるときに、はじめと終わりのはんぱな分も一とする考え方。 calendar years

・逐次 次々に行われるさま。 in turn

・当事者 そのことに直接関係のある人。 relevant person

・おしなべて 全体的に見て。 on the whole

・烈火 激しい勢いで燃え盛る火。raging fire

・ニッチ すきま。niche

・愛顧 ひいきにすること。引き立て。 favoritism

・成算 成功する見込み。 confidence in success

・示威 威力や勢いを他に示すこと。 demonstrate

・遮蔽 他から見えないようにすること。 cover

・冷然 少しも心を動かさず冷ややかな態度でいるさま。 indifference

・半官半民 政府と民間が共同で出資し、経営すること。semi-governmental

・偶有 偶然に備えていること(哲学用語)。 accident

・水清ければ魚棲まず あまりに潔白な人は、かえって人に親しまれないことのたとえ。 A clear stream is avoided by fish.


俺は少々特殊な高校の一年生である。


―――半官半民の学校に通うようになってから10年になる。


この学校は少ない小中高一貫の学校であり、しかも編入もない。だが、それだけでは全国の学校をおしなべて特殊と言うのには過剰なもので、しっかりした理由がある。


・・・小学校に入学してから今も自らの身体をPSIの研究道具にされたり、瞑想などを勉学の他に死ぬほどやらされるのだ。


半官半民というのは、この学校自体が政府の直轄である超心理学の研究機関と連携しており、莫大な資金援助を行う上級国民のお偉いさんが管理をしていることでそう名乗っているだけであり、詳しいことは創立にあたった当事者によって隠蔽されているそうだ。


だが、残念なことに元々研究自体に成算はなく、成果は得られなかったそうで今は唯の自称進学校と化している。


近頃、皮肉なことだが研究に成果が得られていない為か勉学にそこそこ力を入れるようになってきたので此方も肉体的にも精神的にも宜しくなくなっているのだ。


まぁ、研究の成果がそこまでなのは生徒個々人が自分の素質ニッチを徹底的に隠蔽し、教師や関係者に露見するのを忌避しているからなのだが。


―――――何故、自分がこれ程の知識を蓄えているかというと、微々たるものだが少しばかりESPが覚醒しているらしく、絞ることは出来ないが五感を使うと発展した情報が脳に刻みこまれるのだ。


その余分な情報を寸分違わずにみんなに広めるのがこの学校の俺の役割でもある。


現実逃避並びに能力確認をこの辺りでやめ、現実を直視する。


・・・まず、今この学校は宗教関係の団体に逐次爆破されているそうだ。それ以外は何も入って来なかった。


広々とした校庭からは烈火が上がり、爆音が窓を激しく振動している。


このような普通にびっくりする状況にも冷然と対応できる偶有性を俺は持ち合わせている為、級友を安全な場所に導いたりなど威勢のいいことをやってやりたいが、水清ければ魚棲まずということわざがあるように自分に甚大な危険が及ぶ以外のどんな情報も開示するが故に、ある一定の輩には愛顧されるが周りからは無茶苦茶嫌われている為、大きな行動が出来ないのだ。


なんかこの例えだとしっくり来ないなぁ。


―――周りの壁や様々なモノを見たり舐めたりして、情報をダウンロードしなければ。


俺は媒体。

それ故に持たされた五感。

目の周りに巻かれた汗臭い包帯を解いた。




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