第二章 化石と優しい婚約者
その①
そして私も週一という案外なペースで王都一
侯爵様はルーファス様と同じグリーンの
「ようこそ。久しぶりだね。ピアと呼んでいいかい?
「ふふふ、女性の仲間が
お二人は世界を片手で動かせるような?
侯爵家に通うのは夫人から侯爵家の内向きを回すための基本的な心得と技能、貴族夫人の
夫人と共に侯爵邸の広大な庭で、
「ふふ……そう、犬たちもピアのことを気に入ったようね。ピアは
「は、はい! お
ひょっとして犬の散歩係……遊び相手にも任命されたのだろうか?
「……
侯爵夫人は全身キラキラゴージャスな
私がお犬様と転げ回って
* * *
その年の夏、ルーファス様が我が家を訪れ、北の領地、
「侯爵家の
これまでは週に数時間であったからこそ、なんとか大きな失態なく済んできた。でも、完全アウェーで
「う、うむ。ルーファス様、我々がついていければいいのですが私も妻もどうしても外せない予定が……。もう少しピアが成長して、
ルーファス様がにっこり笑った。
「お
「そ、そうですか……」
父が
「で、でもピアは女の子です。ルーファス様や侯爵家の皆様にご相談しにくいことも……」
「もちろんサラも、他にも必要であれば何人でもお連れください。
「そ、そうなの……」
母も
「今のうちから侯爵家の本邸に出入りを許される存在であると、そんな特例はピアだけで
「……こっわ! この
ボソッと声をあげた兄に視線を流すルーファス様。兄は何もなかったように
「では、来週から一カ月ほどピアをお預かりします。ピア、うちの使用人たちは怖くないから安心して? 母が気に入っている君に無礼を働くようなチャレンジャーなんて、うちにはいないから」
「でも……」
私はぎゅっとスカートを
「ピア、スタン領で
思わず顔を上げる。
「まさか……
これまでは当然ながら
しょうがなく
ちなみにこの新しい道具作りに関しては研究
そう、あとはめぼしい土地に
「当たり前だよ。ピアはもうスタン家の一員なのだから。皆様ご
「……いってきます」
「「「い、いってらっしゃい?」」」
あれよあれよという間に出発の日がやってきて、我が
ルーファス様に手を取られて馬車を降りると、この国の最高ランクであろう使用人の皆様がざわついた。
「まさか! ルーファス様が馬車を他人と共にされるだと?」
「
そうなの? この数日ずっと
「ルーファス様、ひょっとしてうるさくしてご面倒をおかけしましたか?」
気づかぬまま気を使わせていたのかと思うと情けなくて、しょんぼりする。
「まさか! ピアのおかげでいつもの
「「「「「かしこまりました」」」」」
私が答える前に皆様が返事してしまい、疑問を聞くこともできなかった。
ルーファス様は私の手をぎゅっと、前世風に言えば
結論、スタン領本邸の皆様は、
「サラ、お屋敷の皆様、私のことを何か言ってない?
「ええっ!?
「え? どうして? ルーファス様は引く手あまたの優良物件だと思うけど? やっぱり王都から領地が
山間のこの土地すら、私にとっては
「はあ……よその令嬢方の思いなど、正直どうでもいいんですよ。ルーファス様自身の強いご意向であること、それが全てですね」
「え?」
「はいはいそうですそうです。
サラは私が次の言葉を発する前に、私のウエストのベルトをぎゅっと
「うぎゃっ!」
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